未成年の子供が死亡事故に…損害賠償はどうなる?
小・中学生の子供の死亡原因の1位は不慮の事故で、この中には交通事故も含まれます。
特に、男子児童は女子児童の2倍、小学1年生は小学6年生の8倍、交通事故に遭っているとのデータもあります。
男の子の方が活発で飛び出しなどの事故に遭いやすく、小学1年生は高学年よりも注意力が劣るのと、背が低いため運転手から見づらいということが考えられます。
不幸にも未成年が死亡事故の被害者となる事があるのですが、未成年者の死亡事故の損害賠償請求では、相手側と争点となる点が多くあります。
通常の死亡事故の損害賠償請求では、死亡慰謝料の他には逸失利益が支払われます。
自賠責基準の死亡慰謝料は、本人分が350万円です。
遺族に対する慰謝料は、請求権者(被害者の父母、配偶者及び子)が1人の場合には550万円、2人の場合には650万円、3人以上の場合には750万円になります。
例えば、両親と子どもが2人の家庭で、子どものうち1人が死亡した場合、死亡慰謝料は本人分の350万円と、両親2人の650万円の合計1000万円になり、もう一人の子は兄弟ですので慰謝料の請求権はありません。
しかし、裁判所基準ならば2000~2500万円が認められることが多く、特に親子との間柄が密接であったり、兄弟間のつながりが深かったりする場合には慰謝料の増額が認められることもあります。
逸失利益の計算はケースバイケース
損害賠償金における逸失利益とは「将来的に稼いだであろう利益」で、サラリーマンなどは死亡事故の時点の収入により計算されます。
未成年の場合は就職していないため、厚生労働省が発表している『賃金構造基本統計調査(賃金センサス)』の平均賃金から算出されます。
賃金センサスは、男女別・年齢別・学歴別・職種別・企業規模別に細かく分類されていますが、未成年の場合には男女別を除く全平均の金額を賃金として、逸失利益の計算に用います。
この場合問題となるのが、全平均となるため大学院卒の賃金と中学卒の賃金が平均化されてしまう点です。
「死亡事故の被害者はエスカレーター式の学校に入学しており、大学卒業はほぼ確定していた」や、「高校生だったが医師を目指して勉強していた」といった場合、大学卒や医師の平均賃金と比べると賃金センサスの金額は低くなるため、逸失利益も低くなってしまいます。
死亡事故の被害者の両親からすると、「子供の将来を奪った上に、不当に低い逸失利益を相手が言ってきている。」となるため、加害者と揉める事が多々あり、裁判に発展するケースもあります。
死亡事故の被害者遺族のこのような主張を裁判所が認めるかは、客観的な証拠が必要となります。
先ほどのケースでは、エスカレーター式の学校に在籍しており、成績も進学に足りておれば認められる可能性が高いですが、本人が医師になりたいと希望していただけでは、「大学に合格できたのか?合格しても大学の学費はまかなえていたのか?」などの疑問に対して反証する必要があります。
未成年者の死亡事故における損害賠償請求は難しい面もあるため、弁護士に相談の上で進めていくとよいでしょう。
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子どもが死亡事故に遭った場合、最終学歴で逸失利益が大きく変わってくるため、遺族と加害者側で将来的な進学状況について争われることがある。
家族が死亡事故に遭った場合には示談交渉を行うが、損害賠償請求権の時効は事故日から5年である。しかし、提訴や催告、承認などで時効の更新(中断)を行う事が出来る。
死亡事故で弁護士を雇う利点は、公的な手続きを代行してもらえる、加害者側の交渉を任せられるので直接会わずに済む、保険会社と交渉して保険金の増額が望めるなどがある。
死亡事故のように損害賠償額が大きくなったり、加害者との争点が生まれたりしそうな場合ほど、弁護士の力が求められる。その時、できる限り交通事故に強い弁護士を選ぶのが望ましい。
死亡事故の示談交渉を代理人に頼む場合には、弁護士を代理人として選ぶのが一番問題が起こりづらく、最適であると言える。