子どもが死亡事故に遭った際の逸失利益はどのくらい?
子どもの死亡事故は家族のみならず周りも胸を痛めますが、家族は加害者との示談でもさらに傷つくことが多くあります。
加害者側に保険会社が介入している場合には、被害者の遺族が加害者の顔を見る事すらできないということもあります。
さらには加害者側の保険会社の示談内容が、到底納得できないということもあります。
示談金の内訳は大きく分けて『逸失利益』、『死亡した子ども本人に対する死亡慰謝料』、『遺族に対する慰謝料』の3つが多くを占めます。
子どもの死亡事故の場合、逸失利益について大きく争われることがあります。
逸失利益とは『生きていれば得られた収入』なのですが、就業している大人の死亡事故の場合は、死亡事故時点の収入を参考として計算されるため、比較的計算は容易と言えます。
しかし、就業以前の未成年の場合、逸失利益を計算する元となる収入が無いため、別の計算方法がとられます。
性別・年齢別・最終学歴で細分化された平均収入統計の『賃金センサス』を元として、逸失利益が計算されるのですが、ここで問題が生じてきます。
子どもの将来性をどう見るか
例えば死亡事故の被害者が男子大学生の場合には、賃金センサスの『男性・大学卒』の数値を参考にして逸失利益を計算すればよいのですが、高校生以下の場合には将来的な進学は確定していないためどうなるのでしょうか?
乱暴な考え方をすれば、『死亡事故の被害者が中学生以下ならば中卒、高校生なら高卒、大学生ならば大卒』となりますが、高校進学率98.8%、大学進学率54.4%の現在、簡単には当てはまらないと言えます。
そのため、一番問題となるのが『大学に進学していたか否か』という点です。
『大学に進学希望をしており、学力的に大学に合格していた』と、学校の先生や模試の結果などから証明できれば良いのですが、中学生や小学生でそこまで具体的な進路を考えている方が少ないため、加害者側の保険会社と争うことがあります。
裁判となった場合、裁判所は客観的に判断するため、遺族側の「大学に進学させようと思っていた」という、一方的な主張は通らないということになります。
しかし、『親が開業医で、死亡した子が後を継ぐために医学部に進学を希望していた』、『理工学部に入学を希望しており、○○大学の合格率の高い高校に入学していた』といったケースでは遺族側の主張が認められました。
子どもの死亡事故という痛ましい出来事の中で、示談を行うというのは遺族にとっては大きな負担になるうえに、示談内容についてさらに加害者側に傷つけられるということがあるため、早い段階で弁護士に依頼をして示談を進める方が良いと言えます。
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未成年者の死亡事故の場合は、成年の損害賠償金の計算方法とは異なるため、その点で加害者と意見が対立することがあるので、弁護士を通じて示談を進める方が良い。
死亡事故の対応をご遺族で処理するのではなく弁護士に任せる事で、損害賠償金額が増えたり、各種手続きの手間が省けたりと、様々なメリットがある。
死亡事故の示談交渉で必要となる書類は、交通事故証明のほかに多数あるため、示談をスムーズに進めるためにも事前に取得をしておくと良い。
家族が死亡事故に遭った場合には示談交渉を行うが、損害賠償請求権の時効は事故日から5年である。しかし、提訴や催告、承認などで時効の更新(中断)を行う事が出来る。
死亡事故の示談をした後は、ほぼ示談を取り消すことができないため、問題がある相手ならば、示談交渉をする際は弁護士に任せた方が良い。