死亡事故となった場合、誰に代理人を頼むのが良い?
家族というもっとも近しい間柄の人間を、死亡事故で突然亡くした悲しみというのは、遺族にしかわからない喪失感や苦悩を抱くことが多いです。
しかし、交通事故による死亡事故の場合は、葬儀や社会保険等の手続きなどの他に、警察の事情聴取や加害者や加害者の保険会社との対応もあります。
突然起きた家族の死亡により心が乱れたままで、これらの対応を遺族が冷静に行えないことがあり、親族や親しい間柄の友人の助けをかりる場合もあります。
そのため、死亡事故遺族の中には、「高齢だから複雑な手続きが難しい」「女性だからと加害者になめられないように」「話下手だから、交渉のうまい人に代わりに示談してほしい」「仕事が忙しすぎて、加害者との話し合いの時間をとれない」と、様々な理由により自分で加害者や加害者の保険会社との交渉が出来ない人もいます。
そのような場合は、代わりの人に任せるという方法があります。
法律的には「代理」と呼ばれる行為で、代理をして行う人間を「代理人」と言います。
代理人は無償でなければいけない
代理人は基本的には、成年であればなることができます。(一部例外・除外条件があります)
「父が死亡事故に遭ったけど、母は心労で寝込んでしまい、一人息子の私も大学生。ちゃんと死亡事故の処理ができるか不安なので、父の兄にあたる伯父に代わりにしてもらう」というのは、法律で許されています。
ここでポイントとなる項目が2つあります。
1つは、代理契約は口頭でも成立しますが、書面で権利の範囲を明記しておく必要があります。
「○田○男の交通死亡事故に関する示談交渉などについて全て代理を任せる」というような文言で契約書がある場合には、要注意です。
「死亡事故の示談交渉をすべてしてくれるのであれば良いのでは?」と思ってしまいますが、すべて任せるということは保険金受取人や受取先口座まで代理人が勝手に決めてしまう可能性があります。
信頼のおける代理人ならば良いですが、「代理人に任せていたら、保険金が代理人の口座に振り込まれて、そのまま逃げられた」といった詐欺まがいの話もあるからです。
もう1つは、弁護士以外が有償で代理人となることは、法律違反である点です。
代理人は誰でもなることができる代わりに、弁護士以外は有償であってはいけません。
「伯父が代わりにしてくれたんだから、10万円を謝礼で払う」、「友人が示談交渉をしてくれてうまくいったから、乗っていた自動車を無料で譲る」というような行為は、有償ですので、厳密には法律違反になります。
中には「事件屋」と呼ばれる紛争の解決や仲介を謳い金銭を要求する者もいますが、違法行為であるだけでなく、恐喝や脅迫といった手段をとることもありますので、絶対に依頼してはいけません。
もし、そのような者に話を持ち掛けられても、「弁護士に依頼をしています」ときっぱりと断る方が良いでしょう。
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死亡事故の近親者慰謝料は、民法で父母、配偶者、子と定められているが、類推適用により、それ以外の近親者でも慰謝料を受け取ることが可能である。
死亡事故の被害者が示談交渉で困ったら、日弁連交通事故相談センターに無料で相談できる。日弁連交通事故相談センターでは、損害賠償額の計算や、過失責任と過失割合の相談などができる。
死亡事故の示談をした後は、ほぼ示談を取り消すことができないため、問題がある相手ならば、示談交渉をする際は弁護士に任せた方が良い。
死亡事故の加害者への損害賠償請求には、通夜~法要、埋葬までに要する葬儀関係費用を含められる。一般的な請求上限額は150万円であり、個々の要件により上限額は増減する可能性がある。
子どもが死亡事故に遭った場合、最終学歴で逸失利益が大きく変わってくるため、遺族と加害者側で将来的な進学状況について争われることがある。