死亡事故被害者遺族におこりえる住宅問題について
死亡事故の遺族が直面する問題のひとつに住宅問題があります。
死亡事故の被害者が賃貸で一人暮らしをしている場合には、解約して立ち退くだけで済みますが、その他の場合は様々な問題が出てきます。
死亡事故の被害者名義の持ち家に被害者が住んでいた場合には、遺産分割の問題が出てきます。
さらに住宅ローンの返済中であった場合には、返済をどうするかの問題も出てきます。
住宅ローンを借入する際に団信に加入していれば、団信から残債分の保険金が支払われるため住宅ローンの支払いは無くなりますが、連帯保証人を立てている場合にはそちらに支払い義務が生じてきます。
連帯保証人が安定した収入のある妻などであれば、ローンを返済しつつ住み続けるという選択肢もありますが、妻に十分な収入がなかったり連帯保証人が実際にはその家に住んでいない兄弟であったりした場合には、最悪売却して死亡事故の被害者遺族の住宅がなくなるという事もあります。
また、連帯保証人が妻であり支払い能力があるにもかかわらず、銀行側から月々の返済ではなく一括返済を迫られるといったケースもまれにあるため、注意が必要です。
賃貸物件に住んでいる場合には要注意
死亡事故の被害者遺族が被害者名義で借りている賃貸に住んでいる場合には、さらに早急な対応が必要となってくるケースがあります。
賃貸料の支払いは銀行引き落としとなっているケースが多く、被害者の死亡により銀行口座が凍結されると賃料の引き落としがされないため、滞納扱いになってしまい事情を知らない家主から立ち退きを請求されてしまいます。
また、家主が立ち退きをひそかに望んでいた場合には、死亡事故の事実を告げても立ち退きを請求することも考えられます。
また、契約内容で「契約者本人が死亡の場合は契約を解除する」とされていた場合、遺族が住み続けることを希望してもかなわないケースがあります。
他にも、遺族が住み続けることを希望して家主がそれを了承しても、新たな契約として扱われて賃料の値上げや保証金の再請求が発生するケースもあります。
公団などでは入居者の収入により家賃が変動するため、『年金暮らしの母名義で借りている公団に息子が居候』という状況で母が死亡事故で亡くなってしまい、息子が住み続ける事を希望しても、契約書の同居家族に記載されていなかったので拒否されたり、住み続けることを許可されても息子の収入に応じた家賃に値上げされたりして、住み続けることが困難といった事例もあります。
このような場合、加害者側に住宅に住み続けられなかったことの損害賠償請求をすることは困難であるため、その他の項目の示談内容を充実させる方が現実的と言えます。
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家族が死亡事故に遭った場合の示談のタイミングは、遺産相続が始まった際に始めるか、加害者の懲罰をどのようにしたいかを遺族が考えて行うとよい。
死亡事故の被害者に借金があった場合、遺族は相続放棄した方が良いケースもある。相続放棄をすると死亡事故の損害賠償金を受け取れないが、遺族に対する慰謝料などは受け取れる。
死亡事故の相続人が行方不明の場合には、示談交渉で問題が起こることが多くあるので、死亡事故が起こったら速やかに故人の戸籍を調査する方が良い。
死亡事故の加害者への損害賠償請求には、通夜~法要、埋葬までに要する葬儀関係費用を含められる。一般的な請求上限額は150万円であり、個々の要件により上限額は増減する可能性がある。
死亡事故の示談金を保険会社が支払う場合は、最速でも死亡事故から3か月程度かかるので、金銭的な問題がある場合には早目に弁護士に相談をする方が良い。