無保険車による死亡事故の補償は?
公道を走る自動車は、車検時に自賠責保険に加入していることが、車検が通る条件の一つとなっているため、車検切れの自動車でもない限り自賠責保険に加入していることになります。
しかし、長い不況などが原因で、任意の自動車保険の加入率が年々減ってきていると言われています。
近年CMなどで通販型自動車保険が台頭してきて、保険料が安くなる事もあるのにもかかわらずです。
そういった無保険車との事故も増えており、「死亡事故の相手が無保険車で、自賠責保険からわずかな金額しかもらえなかった。」と言う話をよく聞きます。
任意保険に加入している方からすると、無保険車が増えていることの実感がないかもしれませんが、日本損害保険協会の統計によると自動車保険の要である対人賠償保険の加入率の全国平均は約70%で、実に3台に1台が無保険車と言う事になります。
しかも地域差があり、大阪や愛知などは80%あるのですが、沖縄や秋田・島根などは50%台で、約半分の自動車が無保険車であることが分かります。
対人賠償保険の加入率が低いところは、それと比例して対物賠償保険や搭乗者保険の加入率もさらに低い県もあり、死亡事故のような大きい事故が起きた際でも、十分な補償がされない危険性があることが分かります。
無保険車の死亡事故だと保険金が足りない
自賠責保険ですと、死亡者1名に対して3000万円を限度額として支払われます。
しかし、近年の自動車事故の判例では5000万円や時として1億円の賠償金であることも珍しくなく、補償金額が自賠責保険では足りないことは明白であります。
仮に加害者に1億円の賠償の判例がおりても、無保険車であれば自賠責保険の3000万円を引いた7000万円を加害者が支払う責任を負います。
ですが7000万円もの大金をすぐに支払える加害者は皆無で、家などをすべて売り払い一生かかって支払ったり、ひどい場合には夜逃げ同然に姿をくらますこともあります。
以前に無保険車が起こした事故で、驚きの判決がありました。
無保険車がセンターラインをオーバーして、相手方と運転手が怪我をしたのですが、無保険車に同乗していた知人が死亡しました。
搭乗者保険に加入していなかっただけでなく、センターラインオーバーと言う重大な過失が有ったため、保険金が支払われませんでした。
そのため、死亡事故の同乗者の遺族が運転手ではなく、相手方の保険会社を相手取って保険金の支払いの訴えをしました。
これを聞くと荒唐無稽な訴えのように思えますが、実際の判決は相手方の保険会社に支払いを命じました。
被害者保護を重きに考えた判決ではありますが、世間からは大きく批判され、保険会社も上告したはずですので、すべての事故に通用するとは限りませんが、無保険車には多くの問題があることが分かります。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
死亡事故で自動車保険と生命保険の両方の支給要件を満たす場合、両方から保険金を受け取ることができる。
死亡事故における自賠責保険の支払いは、過失割合による独自の減額割合でなされるが、自分の過失割合が低くても相手への弁済が高額となる事もあるので注意が必要である。
死亡事故で加害者に損害賠償能力がない場合、被害者遺族が十分な損害賠償金を得られないことがあるが、加害者が自動車保険に加入していたのならば、その保険会社に請求できる。
死亡事故の加害者が任意自動車保険の対人無制限を契約していれば高額の損害賠償金の支払いを受けられるが、そうでない場合は被害者請求をして自賠責保険の保険金を受け取ると良い。
自動車保険と一口に言っても、補償対象が特約により細かく分類され、補償の条件が細かく指定されているので、死亡事故のような大きな事故であっても保険金が支払われないこともある。