死亡事故の加害者となってしまった場合には ・・・
死亡事故に限らず人身事故である場合には、加害者・被害者がいます。
死亡事故の場合、「死亡した人=被害者、死亡させた人=加害者」と思いがちですが、実際には赤信号を無視して交差点に突っ込んで来た運転手が死亡の交通事故と、死亡した側の過失が大きい場合もあるので、ひとくくりにすることはできません。
しかし、自動車を運転する立場からすると「いつ加害者や被害者となるかわからない」といつも心にとめてハンドルを握らなければいけません。
万が一、死亡事故の加害者となってしまった場合の流れや注意点を説明していきます。
交通事故が起こった場合には、速やかに警察に連絡をしなければいけません。
死亡事故のような大きな事故の場合は、加害者被害者ともに大けがを負って連絡が出来ないこともありますが、周りの人に必ず警察に連絡が行ったかの確認をしましょう。
被害者が即死で加害者に大きな怪我ない場合には、その場で警察に拘束されます。
加害者が治療や入院が必要なほどの怪我を負っている場合は、治療の処置や退院を待っての拘束(逮捕)となります。
警察に逮捕された後は取り調べが始まり、48時間以内に検察庁に送検されます。
検察庁送検された後、24時間以内に勾留するか決められます。
勾留が決まると、10~20日間拘置所に入れられ、連日取調べされることになります。
勾留の間、検察庁では加害者を刑事裁判にかけるかどうかの判断がされます。
罪と認められなければ不起訴処分となり釈放され、起訴に踏み切られた場合には裁判が待っています。
悪質な違反や加害者の反省が見られないなどの特殊な事例をのぞいて、罰金処分や略式起訴となるため、一旦保釈と言う形で自宅待機を命じられます。
起訴処分が命じられても、加害者に逃亡の危険性がないなどで保釈されて自宅待機となる事もあります。
その後刑事裁判で、無罪もしくは有罪判決がおり、実刑判決ならば交通刑務所に収監されますが、執行猶予であれば自宅に帰ることができます。
死亡事故の場合は早期に弁護士に依頼を!
警察に拘束(逮捕)されてから検察庁に送検されるまでの間と、場合によっては勾留中も家族との面会を禁止されます。
そのため、事故の全容や被害者家族の情報、家族や勤めている会社の状態など、一切分からないと言う事があります。
ドラマでよく見る死亡事故の被害者の家族に、葬儀の場で直接謝罪をすると言う事はほぼ不可能になります。
しかし、弁護士のみが逮捕直後から加害者と面談することが許されており、加害者にとって弁護士だけが外界との接点となります。
家族の状況を知るだけでなく、弁護士を介して被害者家族に謝罪をしたり、勾留中の警察への対応の指南など、弁護士しかできないことがたくさんあります。
そのため、死亡事故を起こしてしまった場合には、早期に弁護士に依頼をした方が良いです。
「死亡事故で加害者になってしまった場合」に関してのみんなの質問
死亡事故を起こして警察に捕まった場合には、ずっと家に帰ることはできないのでしょうか?
死亡事故を起こした場合には、事件の重大性を鑑み、必ず警察の方で取り調べが行われます。
通常は、警察に48時間拘束・事情聴取されてから、3日目に自宅に帰ることができます。
交通事故は殺人事件などと違い、運転手のちょっとした不注意や、偶発的な出来事により起こることがあり、このような処分がされます。
しかし、飲酒運転、スピード超過や蛇行などの危険走行・被害者を救護せずに逃げるひき逃げなどは、「悪質な加害者」としてみなされ、48時間の事情聴取の後は、勾留がされるため家に帰ることは出ません。
また、死傷者が多数に渡る場合なども、勾留される可能性が高いため、ケースバイケースと言えます。
1年前に交通事故以外のことで、執行猶予3年・懲役2年の判決を受けています。しかし、先日、死亡事故を起こしてしまいました。
この場合、執行猶予は取り消されて、すぐに懲役2年の刑を受けなければいけないのでしょうか?
執行猶予期間は、刑事罰の執行を先延ばしにしている期間なので、その間に刑事罰の罪を犯せば、執行猶予されている刑事罰が実行に移されます。
死亡事故は、過失運転致死傷罪の刑事罰に相当しますので、刑が確定した場合は執行猶予が取り消されます。
しかし、死亡事故であっても、「運転手に過失が少ない」、「死亡した被害者の方に、事故の原因がある」「被害者遺族と示談が済んでいる」などで、死亡事故の刑事罰が罰金刑で済むことがあります。
罰金刑で済んだ場合には、執行猶予の取り消しがされることはほとんどありません。
ですが、執行猶予されている罪が、スピード違反や危険運転など、道路交通法に関係するものであると、死亡事故自体が罰金刑済むケースであっても、前回の刑事罰の執行猶予が取り消されることがあります。
死亡事故を起こして警察にいる場合、被害者遺族に謝罪をする方法はないのでしょうか?
被害者家族に葬儀の場で直接お詫びをしたいと思っているのですが、一時保釈してもらい葬儀に参列することは可能でしょうか?
基本的に、交通事故を起こして警察の取り調べがある48時間以内は、一時保釈できないと考えておく方が良いでしょう。
また、死亡事故の状況によっては、48時間後も10日間の勾留もあり得るため、外部との接触は出来なくなります。
勾留期間中は家族との面会も出来ないため、「家族に頼んで代理で被害者家族に謝罪する」というのは難しくなります。
交通事故直後から連絡が取れるのは弁護士のみとなるため、どうしても葬儀の場などで直接の謝罪をしたい場合は、警察に拘束された直後に弁護士と連絡を取って、「勾留執行停止」という一時保釈の手続きを取ってもらう必要があります。
ただし、勾留執行停止は必ずしも認められるものではない事を、心に留めておくとよいでしょう。
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死亡事故の加害者は、事故発生後に逮捕された場合、最長23日間拘留され、その後、起訴するか不起訴か検察が判断する。加害者の減刑は、被害者との和解が重要視される。
死亡事故のひき逃げに遭った場合、加害車両について出来るだけ情報を得て、通報とともに目撃者をおさえておくことが大事なので、証拠画像の記録の有無を早めに確認し、犯人検挙後の対応に備えるべきである。
死亡事故で発行される死亡診断書(死体検案書)は、のちのさまざまな手続きに必要となり、弁護士に依頼する際の情報源ともなるため、コピーを複数枚手元に置いておく方がよい。
死亡事故で逮捕されると、取り調べと送検を受けて最短で3日、最長で23日以内に不起訴か起訴かが決まる。起訴されれば裁判を経て量刑が決まる。
死亡事故でも加害者が刑務所に行くとは限らない理由には、死亡事故が偶発的に起きて加害者に殺意の意思がないことが、法的に大きな理由になる。