死亡事故の過失相殺は被害者にとって不利になるって本当?
交通事故の民事手続き、つまり損害賠償の請求は過失相殺されます。
ほとんどの交通事故において加害者と被害者のどちらかが100%悪いということはなく、双方に「信号無視」や「前方不注意」など、なんらかの過失が認められるものです。
その内容に応じてどちらがどれだけ悪かったかの割合を決定し、賠償金額に反映させます。
例えば賠償金が8000万円で被害者の過失割合が2割であれば、実際には8000万×0.8=6400万円を請求するということです。
死亡事故の過失相殺は、怪我や物損事故の場合よりも被害者にとって不利になりやすいというのが特徴です。
その理由は、交通事故の当事者である被害者自身が死亡してしまっていて、被害者側としての主張が難しくなるためです。
対して生存している加害者側は自分に有利な主張ができるため、加害者に有利、被害者に不利な過失割合になり、賠償金の受け取り額が不当に減ってしまいがちなのです。
賠償金が数千万円以上となる死亡事故では、過失割合が1割違っただけでも数百~数千万円の差が出てくるので、示談のなかで大きな争点となります。
死亡事故で適切な過失相殺にするためには
死亡事故で過失相殺を決める場合、刑事手続きの際に加害者や目撃者の証言をもとに作成された実況見分調書や供述調書を参考にします。
ただし被害者が事故直後に亡くなっている場合、これらの調書には被害者側の主張が反映されていません。
保険会社に任せておいては十分な調査を期待できず、不利になりかねないので、遺族自身が調査して過失割合の妥当性を確かめることになります。
死亡事故状況の把握に最も役立つのは、ドライブレコーダーです。
いざというときのために付けておくことが奨められます。
死亡事故現場に証言を求める内容の看板を立てるよう警察に依頼したり、既に見つかっている目撃者や近所の方に聞き込みをすることができます。
了承が得られれば、死亡事故現場で動画撮影しながら証言を録画・録音しておきます。
録画が難しければ、証言を文章化した書類に図面を添え、証言者の署名・捺印をもらっておきましょう。
目撃者の記憶が薄れたり転居してしまう前に、早めに行動するのがポイントです。
死亡事故現場が店舗や駐車場、マンションや公道の近くであれば、防犯カメラに写っている可能性があります。
カメラ設置者にお願いして確認させてもらい、ダビングができればベストです。
防犯カメラの映像は一定期間ごとに消去されてしまうので注意してください。
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死亡事故の対応をご遺族で処理するのではなく弁護士に任せる事で、損害賠償金額が増えたり、各種手続きの手間が省けたりと、様々なメリットがある。
死亡事故の加害者への損害賠償請求には、通夜~法要、埋葬までに要する葬儀関係費用を含められる。一般的な請求上限額は150万円であり、個々の要件により上限額は増減する可能性がある。
死亡事故の遺族は、葬儀や示談・遺産相続など多数の手続きが必要となってくるため、弁護士にアドバイスをもらいながら手続きを進めていく方が良い。
死亡事故では、被害者が生存していないため、自身で損害賠償の請求などの対応はできない。そうなると遺族の対応が求められるため、何をしていく必要があるのか、しっかりと把握するべきである。
家族が死亡事故に遭った場合には示談交渉を行うが、損害賠償請求権の時効は事故日から5年である。しかし、提訴や催告、承認などで時効の更新(中断)を行う事が出来る。