死亡事故の示談に応じるタイミングはいつ頃が良いの?
交通事故で被害者が怪我をした場合、治療費用や後遺障害の有無をはっきりさせ、損害賠償額が確定できるタイミングで示談交渉を始めますが、死亡事故の場合には、治療や後遺障害は発生しないので、すぐに損害賠償額を検討することが可能です。
とはいえ、死亡事故では被害者の葬儀があります。
加害者や相手方の保険会社の担当者が葬儀に参列することは多いとはいえ、そのような席で示談交渉を行うようなことはなく、一般的には死亡後の手続きなどが落ち着く四十九日過ぎ頃から示談交渉が開始されます。
遺族の心情として、辛いことを思い出したくない気持ちからすぐに提示された示談に応じようと考える方もいますが、これは示談のタイミングとしてベストとは言えません。
なぜなら、死亡事故の示談に応じることは、加害者の量刑を軽くすることにつながるからです。
交通事故後、警察や検察によって交通事故の取り調べや捜査が行われ、その結果、加害者を起訴するかどうかが決まります。
起訴されれば刑事裁判が行われて刑が確定します。
量刑を決める際にすでに示談が成立していると、被害弁償がある程度終わったものとみなされ、また、加害者の誠意を示す材料として扱われるために、量刑が軽くなってしまいます。
死亡事故の示談のタイミングでは、刑事裁判の進行を考慮するようにします。
示談の前に賠償額の妥当性を検討する
示談にすぐに応じるべきでない二つめの理由は、保険会社による賠償金の提示額について検討する時間が必要なためです。
交通事故の損害賠償金額の基準には、金額が低いものから自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つがあります。
それぞれの保険会社が独自に設けている任意保険基準は、自賠責基準とほとんど変わらなかったり、契約によっては下回るケースもあります。
また、死亡事故では損害賠償の金額が大きく、過失割合が少し違っただけでかなりの金額差が生じます。
保険会社は支払額を抑えるために、加害者に有利な過失割合を提案してくるので、被害者遺族としてはその過失割合が妥当なのか、しっかり確認しなければなりません。
過失の見直しについて相談できるのは、交通事故に詳しい弁護士です。
弁護士に依頼することで、損害賠償金額の基準を引き上げて増額できる可能性もあります。
後で「あのときしっかり確認していれば」と後悔することのないよう、そして被害者のためにも、示談にしっかり向き合いましょう。
損害賠償請求の権利には、交通事故後3年の時効がありますので、損害賠償請求のタイミングを見誤らないようにしましょう。
ひき逃げのように加害者がすぐには判明しない場合、逮捕されてから3年です。
また加害者不明のまま交通事故後20年が経過すると、損害賠償の権利も消滅します。
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家族が死亡事故に遭った場合、加害者や加害者側の保険会社との示談交渉のほかに、法律関係の手続きや死亡事故の裁判、遺族の内紛などの問題があるので、弁護士に依頼する利点が多い。
死亡事故の対応をご遺族で処理するのではなく弁護士に任せる事で、損害賠償金額が増えたり、各種手続きの手間が省けたりと、様々なメリットがある。
司法書士だと140万円までの死亡事故で簡易裁判所までしか扱えず、保険会社も争ってくるケースが多いので、死亡事故の示談の依頼をするならば弁護士一択になる。
仕事が忙しくて家族の死亡事故の賠償金について話し合う時間がなかったら、弁護士を代理人にして保険会社と示談交渉をしてもらうのが望ましい。
死亡事故で弁護士を雇う利点は、公的な手続きを代行してもらえる、加害者側の交渉を任せられるので直接会わずに済む、保険会社と交渉して保険金の増額が望めるなどがある。