死亡事故の保険金を生活保護者が相続する際の注意点
死亡保険の相続人は妻などの配偶者のほかに、子どもであることが多いです。
子どもが未成年であるのならばそこまで大きな問題になりませんが、子どもが成人して各々に家庭を持っている場合には、死亡事故の配偶者や兄弟間で温度差が生じることがあります。
よくあるのが、兄弟で一方が経済的に余裕があり、もう一方が生活に困窮している状態です。
法定相続割合では、配偶者が1/2で、子どもが残りの1/2を人数分で割りますので、子どもが2人であれば1/4ずつの相続ということになります。
生活が困窮している側から増額を主張してくることがありますが、遺言書があるか、何十年も死亡事故の故人を介護してきたなどの特別な理由がない限り、裁判所でも法定相続割合とする判決を下すことが多いです。
交通死亡事故の保険金は高額となるため、相続の際に火種となることがあるのですが、相続人の中に生活保護者がいる場合にはより注意が必要です。
生活保護が外れる可能性も
そもそも生活保護は病気等で仕事が出来ず、生活していくための財産がない者に対して支給されるものです。
そのため、「生活していくだけの預貯金がある」「不動産などの財産がある」といった状況では、受給要件を満たしていないとみなされます。
生活保護を受給中であっても、受給要件を満たし続けなければいけないため、死亡事故の保険金を相続した際には、「生活していくだけの預貯金がある」として、生活保護が打ち切られる可能性があります。
これは、死亡事故の配偶者や子にも言えることで、生活保護で生活をしていたのに死亡事故の保険金を受け取ったがために打ち切られるということがあり得ます。
生活保護を打ち切られたために、健康保険料や年金保険料の支払いが発生し、医療費も実費を支払わなければならず、現在住んでいるところも生活保護専用であれば退去、もしくは一般入居者並みの家賃を支払わなければいけないということになります。
死亡事故の保険金が潤沢であれば、遺族の余命まで生活費が賄える場合もありますが、数百万円といった場合には2・3年で使い切ってしまうということも考えられます。
生活保護の認定は年々厳しくなっているため、前回生活保護を認められたからと言って、次回も認められるとは限りません。
そうなると、死亡事故の保険金を受け取るよりも、生活保護のままで現状維持をした方が良いといったケースがあります。
とはいえ、死亡保険の受け取りを全くしないというのも、加害者にとっては都合のいい話になってしまうので、生活保護を受けていない家族が保険金を全額受け取る、ないしは生活保護の家族は数十万円程度の保険金だけ受け取るといった工夫が必要となってきます。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
死亡事故によって残された遺族は高額な保険金を受け取ると、相続問題や金銭問題が発生する事が多いため、それを予防するためにも事前に弁護士に相談しておく方が良い。
死亡事故の示談金を保険会社が支払う場合は、最速でも死亡事故から3か月程度かかるので、金銭的な問題がある場合には早目に弁護士に相談をする方が良い。
死亡事故による損害賠償金は遺言による遺産に含まれないため、その分け方でもめることがある。また遺言書に対して遺留分を申立てても死亡事故の損害賠償金は法定相続分の管理を有する。
死亡事故の相続人が行方不明の場合には、示談交渉で問題が起こることが多くあるので、死亡事故が起こったら速やかに故人の戸籍を調査する方が良い。
家族が死亡事故に遭った場合、加害者や加害者側の保険会社との示談交渉のほかに、法律関係の手続きや死亡事故の裁判、遺族の内紛などの問題があるので、弁護士に依頼する利点が多い。