死亡事故の示談交渉はいつまでできる?
テレビニュースなどで、数年前に起きた交通死亡事故の裁判に関する報道がされたりします。
地方裁判所での判決でも1~2年かかり、そこから高等裁判所や最高裁判所まで争うと交通事故の裁判でも5年10年とかかるケースもあります。
そのため、「交通事故になっても、損保会社とゆっくり時間を示談すればよい」と考える方もいるかもしれませんが、実際にはそうはいきません。
損保会社への示談交渉は少し難しく言うと、「交通事故にあった者、もしくは死亡事故者の相続人及び請求権を保有する者が、交通事故に掛かる損害賠償や保証金を加害者および損害保険会社に請求する権利を行使する」と言う事になります。
これは法律で認められた権利なので、死亡事故の被害者の遺族が損保会社と示談をするのは問題ないのですが、同時に権利の行使には時効があります。
時効は死亡事故翌日から3年間となるため、「損保会社と交通事故の示談交渉がこじれて、時効が過ぎてしまい保険金がもらえなかった」「時効が近づいてきたので、泣く泣く損保会社が提示した示談金額で和解した。」と言う事があります。
また、自賠責保険は時効を2年としており、民間の損保会社よりも1年短いことに注意をしなければいけません。
時効は中断することができる
ここで、「交通死亡事故の裁判は、判決に5年も10年もかかることがあるのに、裁判で勝ったところで損保会社から補償金がもらえないのでは?」と言う素朴な疑問が出てくると思います。
実は2年もしくは3年と言う時効ですが、一定の手続きをすれば時効を中断することができるのです。
大きく分けて3つの方法があるのですが、順に紹介していきます。
1つは、損保会社から補償金の一部を一時金として受け取る事です。
受け取ったお金は仮払いの一時金であるとの証明書を損保会社から発行してもらわなければいけませんが、一時金が支払われた日から時効が一からにリセットされます。
2つ目は、加害者や保険会社に催告を行う事です。
内容証明書郵便で加害者や保険会社に催告を行うと、時効を最大6か月延長することが出来ます。
内容証明書郵便で何度催告をしても、無限に期限が伸び続けるわけではなく、最初に催告を送った日からのみ有効となります。
また、催告を行ってから6カ月が経過してしまうと時効が成立してしまうため、この期間内に加害者や損保会社から示談交渉がなされなかったり、示談が成立しそうにない場合には、裁判所に訴訟手続きをする必要があります。
3つ目は、上記に触れたように裁判をすることです。
裁判所に訴訟手続きをした場合には、「裁判所で出された判決に従う」「裁判所から提示された和解案で和解する」「裁判を取り下げる」までは時効が停止します。
もし、裁判所が出した判決に不服がある場合には、上位裁判所に上告すれば時効が停止します。
そのため、時効が迫っている裁判では、即日控訴をすることも珍しくありません。
時効の中断には法律的な知識が必要となるため、弁護士に相談をした方が良いでしょう。
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死亡事故は、傷害事故と違い被害者が意見を述べることができないため、過失割合に納得できない遺族は、弁護士に事故を調査してもらって正しい過失割合を主張するほうが良い。
仕事が忙しくて死亡事故の賠償金について話し合う時間がなかったら、弁護士を代理人にすると、賠償金の相場を知っているので、適正な賠償金額で保険会社と示談交渉してくれる。
死亡事故で弁護士を雇う利点は、公的な手続きを代行してもらえる、加害者側の交渉を任せられるので直接会わずに済む、保険会社と交渉して保険金の増額が望めるなどがある。
死亡事故で損害賠償についての示談交渉が難航したら、交通事故紛争処理センターに相談すると中立の立場で相談に乗って和解を提案してくれる。
家族が死亡事故に遭った場合は、いち早く弁護士に相談するのが望ましい。大切な人を死亡事故で亡くしたなかで冷静に判断するのは難しいものの、弁護士選びは慎重に行わないとならない。