死亡事故で被害者が民事裁判を起こすメリットについて
交通事故の被害者や、交通死亡事故の遺族が加害者を相手取った裁判が、ときおりテレビニュースなどで報道されます。
日本ではまだまだ裁判に対する馴染みが薄いためか、最たる死亡事故の被害者というべき遺族が裁判を起こしても、「保険金目的か?」と間違った批判を受けることもしばしばあります。
死亡事故の被害者遺族が刑事裁判ではなく、民事裁判を起こす理由には様々あります。
1.加害者及び保険会社が提示する保険金額が低い
2.加害者もしくは保険会社の、被害者遺族に対する対応が悪い
3.刑事裁判でははっきりしなかった、死亡事故当時の状況をはっきりさせるため
4.加害者に下された刑事罰の量刑に、被害者遺族が納得せず、懲罰的な意味合いでの訴訟する
など、このほかにも様々あり、1つの理由だけでなく複数の理由から民事裁判を起こす場合がほとんどです。
しかし、裁判を起こすと言っても、時間も労力も金銭もかかりますから、民事裁判をすることをためらわれる死亡事故の遺族も多くいらっしゃいます。
死亡事故の遺族が民事裁判する利点
時間・労力・金銭というデメリットがあるにもかかわらず、遺族が民事裁判をするメリットはどういったものがあるのでしょうか?
まずは、損害賠償金額の上昇です。
保険会社が初めに提示する損害賠償金額(保険金)は、最低基準とも言える自賠責保険と同じか、それに少々上乗せしたくらいの金額で、過去の判例から導き出される裁判所基準からはほど遠い金額です。
「弁護士に死亡事故の示談交渉を依頼したら保険金がアップした」というのも、保険会社では「一般人が保険金のアップを言ってきても応じなくてもいいが、弁護士が介入したらこちらが不利になるので保険金交渉に応じる」という、悪しき不文律があるせいです。
2つ目は、死亡事故の状況を再調査できる点です。
刑事裁判では警察が調べた調書に基づき裁判が行われますが、被害者遺族からすると「刑事裁判を進行するには問題がないのかもしれないが、事故当時の状況があまりわからない」ということがあります。
民事裁判はあくまで民事ですので、訴訟した側が納得できるまで事故調査を行うことも出来ますし、民事裁判上で遺族が直接加害者に対して質問ができる貴重な場でもあるため、あえて民事裁判に踏み切る遺族もいます。
3つ目は懲罰的な意味合いです。
裁判は訴える側もそうですが、訴えられる側にも負担が生じます。
死亡事故の刑事裁判の起訴は、事故から半年頃であることが多いのですが、その時までに被害者家族と示談が済んでいない場合には、加害者は情状酌量において不利となります。
さらに民事訴訟がされている場合には、刑事裁判の裁判官も「常識的な範囲内の損害賠償額で遺族と民事裁判しているが、加害者は裁判になるまで被害者遺族と話し合わなかったのか?」と、加害者が反省をしていないと判断します。
そのため、加害者から謝罪がないといった場合には、早期に民事裁判に踏み切る遺族もいます。
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死亡事故で被害者家族が民事訴訟を起こす理由は、加害者の量刑に不満があったり、損害賠償の金額が低すぎることが主な原因である。
死亡事故の遺族に対する慰謝料の支払いの範囲は、支払われる親族の範囲は、両親(養父母を含む)・配偶者・子になり、金額もさほど多くない。
死亡事故で亡くなった人と特に親しい近親者は、近親者慰謝料を請求できる可能性があるが、近親者慰謝料を請求するには、精神的な苦痛を受けたことを実証する必要があるため、弁護士に相談するほうが良い。
死亡事故における慰謝料は死亡慰謝料と呼ばれ、死亡した被害者本人に対する本人慰謝料と被害者の近親者に対する慰謝料を請求できる。
家族が死亡事故に遭った際の弁護士費用には、着手金と成功報酬が含まれる。成功報酬を払っても、賠償金が増額されれば、依頼人にとって大きな経済的利益となるため、まずは弁護士へ相談するのが望ましい。