賃貸オーナーが死亡事故となった場合、逸失利益はどうなる?
死亡事故の被害者が、サラリーマンのような給与所得者とは限りません。
年金受給者や主婦・無職・フリーターなど、さまざまな収入形態の方がいます。
その中で、家賃収入で生活をしている、いわゆる大家や賃貸オーナーの死亡事故のケースを説明したいと思います。
死亡事故の保険金の柱には主なもので、死亡事故の被害者の逸失利益、被害者に対する慰謝料・死亡事故の遺族に対する慰謝料があります。
よく、「死亡事故の裁判で、高額の損害賠償請求が認められた」というニュースを見かけますが、それは逸失利益によるものが大きいです。
逸失利益は、死亡事故の被害者が生きていれば生み出したであろう利益のことを指しますので、高収入であればあるほど損害賠償金額は大きくなります。
賃貸オーナーは逸失利益が認められないケースも
では、賃貸オーナーはというと、損賠賠償金額は極めて低いか、0円ということもあり得ます。
なぜかというと、収入を生み出しているのは賃貸オーナー自身ではなく、所有している不動産であるからです。
つまり、賃貸オーナーが死亡事故でいなくなったとしても、不動産自体が利益を生み続けるため、逸失利益と認められないのです。
同じく、大株主で株式配当で生活しているような場合には、賃貸オーナーと同じく逸失利益と認められないということになります。
しかし、不動産を会社保有としていて、実質的な不動産の持ち主である社長の場合は別になります。
この場合、死亡事故の被害者は単なる賃貸オーナーではなく、賃貸不動産会社の役員となるため、会社から役員報酬を受け取って収入を得ているという形になるからです。
このようなケースでは、役員報酬が逸失利益として認められるため、損害賠償金は莫大なものになることもあり、単なる賃貸オーナーとは損害賠償金額が大きく異なってくることもあります。
また、会社員であるが収益マンションを所有しているというような場合では、会社員としての収入は逸失利益として認められますが、収益マンションの収益は逸失利益として認められません。
死亡事故の遺族の中には、「古いアパートの管理を父が一人でしていたが、死亡事故以降管理する者がいなくなったため、入居者が全員退去して収入が激減した」というケースがあります。
しかし、家賃減収の補てんを加害者に求めても認めてもらえず、裁判をしても敗訴ということもあるため、賃貸オーナーの死亡事故は給与所得者よりも、より多くの問題を抱えているとも言えます。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
公務員が死亡事故を起こした場合、禁固刑以上の判決が下されると解雇となってしまうため、十分な弁済をしてもらえない危険性がある。
死亡事故当時無職であった場合には、逸失利益を0円として保険会社は計算をしてくるが、裁判所の判断によっては逸失利益を認める判決が出ることがある。
死亡事故による慰謝料は、本人に対する慰謝料と近親者慰謝料があるが、近親者慰謝料を積極的に請求することにより、遺族の悲しみを訴えて慰謝料が増額する可能性がある。
死亡事故で自動車保険と生命保険の両方の支給要件を満たす場合、両方から保険金を受け取ることができる。
死亡事故では、加害者と被害者遺族間で、過失割合でもめることが多く、わずかな過失割合の差で金額が大きく変わるため、紛争となることもある。