公務員による死亡事故の危険性
死亡事故を起こした場合、「会社にばれたら解雇されてしまう」と悩まれる加害者がいます。
解雇されるかどうかは、会社の規約や下された判決の軽重により変わると思いますが、公務員の場合にはそうはいきません。
国家公務員法や地方公務員法で、「禁錮以上の刑に処せられたら失職(つまり解雇)」となっていますので、死亡事故の最高刑は懲役刑ですので解雇となる可能性は大いにあります。
実刑ではなく執行猶予がついても禁固刑以上であれば解雇ですので、執行猶予がついて喜んでいたのに勤めていた役所はクビとなり、今後の生活を窮する可能性が高まります。
実際に、交通死亡事故を起こした公務員が懲戒解雇となる事例が多発しています。
公務員には高いモラルが要求されるとともに、インターネットの普及から飲酒運転であってもニュースで報道があると、その公務員が在職している役所に抗議の電話やメールが殺到することがあります。
飲酒運転自体は免停や罰金刑の行政処分の対象となりますが、刑事事件とはならないため禁固以上の刑に処せられることはありませんが、一般市民からの非難から解雇や自主退職することもあります。
死亡事故の被害者への影響
死亡事故の被害者の遺族からすれば、「加害者が公務員だろうが、解雇されようが自業自得」と考えるかもしれません。
もちろん、公務員であるからと言って判決に手心が加えられることはありませんし、逆に公務員は一般市民の規範となるべきと重い判決になる事もあります。
また、加害者側が死亡事故の被害者に対して十分な補償ができる自動車保険に加入していたり資産があったりすれば問題はありません。
しかし、十分な保険に加入していなかったり、保険自体に加入していなかったりすると、高額の損害補償の判決が家庭裁判所からされた場合に払いきれず、家・土地・家財道具全てを処分してなお、毎月の給料から弁済すると言う事になります。
ですが、公務員であればこの時点で解雇、つまり収入源がないことになりますから、弁済の先行きはかなり不透明だと言えます。
どの職業でも同じような問題が起こると言えますが、公務員は(ほぼ)失業確定ということから、他の業種よりも厳しいと言えます。
重ねて言いますが、加害者の失職と被害者家族への保障とは別になりますので、被害者家族がそれにより損害補償金額を減額したり、請求自体を止める必要はありません。
そのため、加害者の保険会社からの「加害者も社会的な制裁を受けていますので」と言う言葉に、惑わされることなく、交渉をする必要があります。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
賃貸オーナーの場合、収入は所有する不動産が生み出しているため、死亡事故で亡くなったとしても、逸失利益が認めてもらえないケースもある。
死亡事故当時無職であった場合には、逸失利益を0円として保険会社は計算をしてくるが、裁判所の判断によっては逸失利益を認める判決が出ることがある。
死亡事故で自動車保険と生命保険の両方の支給要件を満たす場合、両方から保険金を受け取ることができる。
家族が死亡事故に遭った際に請求できる慰謝料は死亡慰謝料と呼ばれ、死亡した被害者本人に対する本人慰謝料と被害者の近親者に対する慰謝料といった内訳は2種類に分別される。
保険会社が提示する損害賠償金額は、自賠責基準とほとんど差がない。死亡事故の場合の自賠責基準と弁護士基準について見てみると基準額の決め方が異なり、数百~一千万円以上の差が出る可能性がある。