主婦の死亡事故で補償される内容はどんなものがある?
死亡事故に遭う人の職業は様々で、会社員だけでなく主婦や学生・無職の人もいます。
主婦の死亡事故の場合、死亡事故の遺族と加害者側の保険会社との考え方の差が大きく、示談交渉がうまくいかないことがあります。
家の家事だけでなく、家庭の要となっていた主婦の場合、死亡事故により遺族の生活に大きな影響が出ることもあります。
しかし、保険会社が提示してくる示談内容に関しては、死亡慰謝料のみであることが多く、同年代のサラリーマンと比較すると補償が少なく、支払われる保険金額の総額が3分の1程度であることも珍しくありません。
日本において主婦に対する評価は、「三食昼寝付」「夫の給料で生活している」など、低く見られがちです。
そのためか、死亡事故の示談交渉においても、「主婦なので収入がないため、補償は無職と同じ計算になります」「共働きであった場合にのみ給与所得者として計算できます」との主張を保険会社はしてきます。
実際、保険会社のその主張を鵜呑みにして示談に応じてしまう遺族が多く、後になって事実と違うこと知って後悔されることが多いです。
しかし、実は自賠責保険でも主婦の休業補償は認められてるのです。
主婦の価値は?
しばしば、専業主婦の家事を給与に換算した場合いくらになるかの議論がされますが、おおよそ20万円前後の金額が試算されています。
自賠責保険では、1日あたり5700円の補償がされます。
単純計算で5700円×365日=208万500円が主婦の年収ということになります。
しかし、裁判においては賃金センサスという日本の給与統計から、性別・年齢・学歴により出された金額により年収を計算します。
40代の女性であればおおよそ360万円で、自賠責と比べると150万円以上の差があることがわかります。
実際に裁判で保険会社に請求する金額は、年収から生活費控除を引いてライプニッツ係数をかけたものになりますので、40歳の主婦で約3800万円が死亡事故による逸失利益となります。
安易に保険会社の示談交渉に応じてしまうと、3800万円も損をしてしまうだけではありません。
どういうことかというと、主婦の死亡事故でも逸失利益が認められる事実を教えない保険会社が、その他の支払項目でもきちんと計算しているはずもなく、死亡事故の遺族の不利益があることは火を見るより明らかと言えるからです。
もし、保険会社の示談内容に疑問があるようであれば、必ず弁護士に相談をして、示談内容が正しいものであるか確認をしてもらう方が良いでしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
二輪の死亡事故の場合、自動車保険の扱いが四輪と異なることもあるため、分からないようであれば、交通事故に詳しい弁護士に相談した方が良い。
死亡保険の請求権は法定相続権のある人だが、請求権者が複数の場合には代表した一人が保険会社との示談交渉を行う。
死亡事故の慰謝料は自賠責保険基準で上限1250万円であるが、裁判では2000~2800万円とされることが多いので、大きな開きがあることがわかる。
交通事故の損害賠償金は被害者のものであるが、死亡事故の場合は被害者が死亡しているために、相続人が損害賠償金請求の権利を有することになる。
死亡事故の被害者の逸失利益の計算には収入証明が必要となるが、職種により収入証明の仕方が違うために、注意が必要である。