死亡事故で被害者家族が加害者の減刑を望む場合
死亡事故の場合、「加害者には厳しい処罰を」という意見が大多数を占めますが、中には反対に被害者家族側が加害者の減刑を望むことがあります。
被害者家族が加害者の減刑を望むのは非常に稀なケースと言えますが、「被害者が酒酔い状態で車道に飛び出した」となどの被害者に過失が大きいと考えられる場合や、加害者が交通死亡事故当初から被害者や被害者家族に対して真摯に謝罪を繰り返していた場合などでは、被害者家族の方から「加害者の方にも将来があるのですし、あまり重い刑は望みません」と言われることがあります。
死亡事故と言う悲しい出来事ではありますが、被害者家族の素晴らしい人間性が垣間見れて、少しは救われた気持ちになるのですが、「無罪放免」と言うわけにはいきません。
死亡事故の場合は人身事故として検察庁に送検されていますので、量刑を決めるのは裁判所となるため、被害者家族が「加害者は無罪でいいです」と言っても認められません。
加害者と被害者の行動で減刑の可能性が
では、全く減刑の可能性がないかというと、そうではありません。
まず問われるのが、加害者の被害者家族への謝罪態度です。
交通死亡事故当初から謝罪し、葬儀に弔問に訪れたり、警察に拘束中もお詫びの手紙を出し続けたり、保釈中に被害者家族宅にお詫びに行ったり、お墓にお参りに行ったりと、被害者や被害者家族に継続して謝罪し続けていることが重要になります。
また、示談が成立しているかが大きな要因になります。
示談と言うのは、被害者家族に金銭的に償っているかと言う事になりますので、示談が成立していると言う事は被害者家族に一定の謝罪をし、被害者家族もそれを受け入れていると裁判所が判断するからです。
もう一つが、被害者家族からの陳情です。
通常は、被害者の無念や被害者家族の心痛を陳情し、加害者の量刑を重くしてもらえるように訴えるのですが、反対に「加害者の方は何度も謝罪を繰り返してくれていて、被害者にも非があったので、重い量刑は望みません」と言う事も可能です。
逆に、加害者に重い量刑を望む場合には、これらの行動をとることを避けなければいけません。
直接対面をして謝罪を受ける・香典を直接受け取る・示談に応じるなどは、裁判において加害者の減刑の要因となりかねないため、「直接会わない」「謝罪の手紙なども受け取らない」「香典を受け取らず、参列もさせない」「示談交渉は刑事裁判が終わるまで行わない」と言った対応をする必要があります。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
死亡事故の示談をした後は、ほぼ示談を取り消すことができないため、問題がある相手ならば、示談交渉をする際は弁護士に任せた方が良い。
死亡事故に遭った被害者の遺族への対応によって、加害者の刑罰の軽重が変わる事があるので、弁護士に相談をして対応をどうするか考えた方が良い。
交通死亡事故で示談が成立することは、加害者側にとってはメリットでしかないが、被害者側にとってはメリットとデメリットの双方が存在する。いずれにしても示談の内容が重要である。
仕事が忙しくて家族の死亡事故の賠償金について話し合う時間がなかったら、弁護士を代理人にして保険会社と示談交渉をしてもらうのが望ましい。
家族が死亡事故に遭った場合の示談のタイミングは、遺産相続が始まった際に始めるか、加害者の懲罰をどのようにしたいかを遺族が考えて行うとよい。