遷延性意識障害となった際の示談金の相場は?
交通事故で家族が遷延性意識障害となった場合、様々な不安があると思いますが、金銭的な不安も大きいのではないかと思います。
仮に遷延性意識障害患者に交通事故の過失割合がない場合、治療費などは加害者側に請求できます。
自賠責保険の障害にかかる補償額は上限が120万円であるため、加害者側が自動車保険に加入していなければ、遷延性意識障害の治療費が1~2カ月しかもたないという場合もありえます。
その場合、自身が加入している健康保険組合等に対して「第三者行為による傷病届」等所定の書類を提出すれば健康保険が利用できますし、高額療養費制度を使えば収入に応じた月額上限を超える分は支払わなくてよくなります。
とはいえ、まとまった金額が手に出来る示談金が気になるかと思います。
自賠責保険における遷延性意識障害の後遺障害等級は介護1級となりますので、上限4000万円が、自賠責保険から支払われます。
示談金が1億円超えもある
示談金4000万円は多く思えますが、脊髄損傷となった被害者が若年者や高額収入者であった場合、4000万円では到底足りません。
例えば、25歳のサラリーマンで年収が300万円であったとします。
67歳まで働けるとすれば、
(67-25)×300万円=1億2600万円
と給料の損失(逸失利益)だけでも1億円を超えることが分かります。
(実際に請求できる金額は300万円×23.701(25歳のライプニッツ係数)=7110.3万円になります)
さらには将来的な介護費用や後遺障害慰謝料なども足されると鑑みると、遷延性意識障害の交通事故の示談金が1億円を超えることも珍しくなく、自賠責保険の4000万円では到底足りないことが分かります。
ご家族が遷延性意識障害となり将来的な不安から、加害者側の保険会社から提示された示談金額が数千万円であることもあり、そのままの金額で示談してしまう方もいますが、弁護士からすると判例に照らし合わせると数千万も低いということはよくあります。
そのため、遷延性意識障害となった交通事故の示談をする前には、必ず弁護士に示談の内容を精査してもらう方が良いでしょう。
先述した介護費や治療費などが低く見積もられているほかに、本来なら請求できる親族による介護費やリフォーム代などを意識的に外している場合も多々あるからです。
費用の面で心配であるのならば、無料相談をしている弁護士に相談をして、実際にどのくらい示談金額が上がるか確認してから、弁護士費用との折り合いを計算して依頼をするとよいでしょう。
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交通事故で遷延性意識障害となった場合、被害者と被害者の看護をする家族の補償を優先した示談がなされるべきなので、身内からの示談交渉への干渉がひどい場合には弁護士に依頼するとよい。
交通事故により負った遷延性意識障害の示談をする場合、将来的な介護も考えて交渉しなければいけないので、弁護士に相談をして示談交渉を進めるとよい。
交通事故の遷延性意識障害の示談の場合、示談のタイミングが難しいのと示談金額の交渉が難しいため、弁護士に任せた方が良い。
家族が交通事故に遭って遷延性意識障害となり、示談交渉の際に「遷延性意識障害患者の余命がそうでない人より短い」と保険会社が主張しても、屈せずに弁護士に相談しながら正当な賠償金を請求すべきである。
交通事故の示談交渉で保険会社から遷延性意識障害患者の余命は10年ほどとの主張がなされる時があるが、裁判所は平均余命を採用している。