遷延性意識障害ではどのくらいの医療費控除が受けられるの?
遷延性意識障害患者を抱える家族の不安のひとつに、経済的な負担があります。
交通事故の示談交渉を弁護士に依頼して、十分な治療費が確保できたとしても、少しでも経済的な負担を減らした方が、将来の安心につながります。
脊髄損傷患者にかかる経済的なもので、一番のウエイトがかかるものが医療費です。
医療機関や療養機関に入所中であった場合には、「高額療養費制度」を利用すれば患者の年齢や健康保険の加入者の収入により上限が変わりますが、一定額以上の医療費の自己負担分が減免されます。
仮に月の医療費が100万円かかり、自己負担が3割の30万円であった場合、年収が370万円以下の世帯ならば月額上限の57,600円を支払い、残りの242,400円は高額療養費制度により賄われることになります。
これは入院だけに限らず通院や処方された薬に対しても適用されるため、自宅介護をされている遷延性意識障害患者でも利用できます。
また、高額療養費制度は遷延性意識障害患者と同じ健康保険に加入している家族も合算して使えるため、先ほどの例の様に遷延性意識障害患者で上限いっぱいまで使っている場合には、同一保険に加入している家族の医療費の負担はありません。
ただし、一旦自己負担分を支払ってから、健康保険組合に返金の手続きを取るような形になります。
もう一つの治療費のセーブが医療費控除です。
医療費控除で見えない出費を抑える
医療費控除とは年間で10万円以上の医療費を支払った場合、10万円以上の部分に対して所得控除が受けられるものです。
先ほどの例のように月57,600円で年間691,200円を支払っているのならば、10万円を引いた591,200円に対して所得控除が受けられます。
収入の370万円の所得税は20%なので、118,240円が還付されます。
(諸条件により変わるため、詳しくは税理士や弁護士に確認が必要です。)
医療費控除は医療費だけでなく、介護保険サービスや薬局やドラッグストアなどで購入できる医療費控除対応商品(薬やおむつなど)も対象となるため、自宅介護の遷延性意識障害患者であれば、医療費控除を利用することでかなりの費用の軽減が見込まれます。
高額療養費制度や医療費控除は毎年何かしらの改正がされていますので、現在利用出来ていても使えなくなったり、反対に現在利用できなくても将来的に利用できたりすることもありますので、毎年こまめにチェックをした方が良いでしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故で遷延性意識障害となっても、個室の利用料を加害者側に支払わせるのは難しいと言える。
遷延性意識障害の治療法には、電気的な刺激を脳に与えるものがあり、脊髄後索電気刺激が代表的なものである。
遷延性意識障害になると、やがて施設療養を続けるか、自宅療養するかを選択することになるが、保険会社の意見をうのみにせずに熟慮の上で選択しなくてはならない。
症状固定後は加害者に治療費は請求できないが、遷延性意識障害の場合、将来的な治療費や介護費を示談時に請求することができるため、弁護士に相談するのが望ましい。
聴覚は五感の中で最後まで遷延性意識障害患者が認識できる器官と言われているため、音楽や声などを患者に聞かせることにより、脳を刺激して活発化させると考えられている。