遷延性意識障害患者を介護する際に気を付けたい感染症とは
遷延性意識障害患者を介護するうえで、感染症は大きな問題となります。
感染症とは、病原体が身体の中に侵入して、熱や咳・痛みなどの症状が引き起こされることを言います。
病原体は様々にあり、細菌やウイルス、寄生虫などが代表的なものです。
感染症の身近なものでは風邪やインフルエンザ、ここ数年で有名なものはコロナウイルスも感染症に含まれます。
つまり、病原菌の強さに関係なく、病原菌が原因であれば『感染症』にカテゴライズされます。
遷延性意識障害患者において感染症が危険である理由はいくつかあります。
まず、感染症にかかったことに気が付きにくい点です。
遷延性意識障害患者は発語したり、身体を動かして意思疎通することが出来ないため、「熱がある。」、「お腹が痛い。」といった愁訴が出来ません。
そのため介護者は、遷延性意識障害患者の体温や血圧を毎日測ることはもちろんのこと、『腹部に腫れや陥没が無いか』、『皮膚の色やかぶれなど状態に異常がないか』など細やかな観察が求められます。
2つめは、遷延性意識障害患者の体力や健康面です。
健常者であれば3食食事をして、適度な運動をしているため、大きく健康を損なうことはありません。
しかし、遷延性意識障害患者は寝たきりであるため体力が衰えますし、免疫力や抵抗力が低下します。
そのため、健常者ならば2・3日で治るような風邪であっても、遷延性意識障害患者には命取りという可能性もあります。
徹底した感染症対策が必要
遷延性意識障害患者は感染症のリスクが高いため、介護には細心の注意が必要になります。
入院をしている場合には、看護士などの医療関係者が介護・観察をしてくれ、発症の際には最適な治療を行ってもらえます。
しかし、自宅介護の場合には、これらのことをすべて介護者が行わなければならず、介護者の医療知識が乏しい場合には、感染症の兆候を見逃してしまい、肺炎などの重篤な症状を引き起こすケースがあります。
呼吸器に関する感染症の場合、喉に痰が詰まり窒息死したり、痰が肺に入り誤嚥性肺炎を誘発したりすることがあります。
また、遷延性意識障害患者は床ずれを起こした場合に治りにくい傾向があり、感染症を引き起こし患部が壊死するといったこともあります。
特に重度の糖尿病などを患っている場合には、傷が治りにくく、最悪手術で患部を除去したり、足などの切断もありえます。
家族が交通事故で遷延性意識障害となった場合に、「自宅で介護したい」と希望される方もいますが、介護だけでなく衛生管理を徹底しなければいけないということも考慮しておかなければなりません。
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遷延性意識障害患者の中には、人工呼吸器が必要となる人もいる。人工呼吸器が必要な遷延性意識障害患者の自宅介護は、かなり重篤なレベルとなるので、それを踏まえて家族は検討する必要がある。
自動車事故対策機構(NASVA)は、遷延性意識障害などの交通事故被害者の援護をする独立行政法人で、療養センターの入所や介護料の支給などの支援をしている。
聴覚は五感の中で最後まで遷延性意識障害患者が認識できる器官と言われているため、音楽や声などを患者に聞かせることにより、脳を刺激して活発化させると考えられている。
3カ月以上入院している患者に対して健康保険が病院に支払う保険点数は激減するので、遷延性意識障害の患者は、入院から2カ月以上経つと、病院側から転院を促される。
遷延性意識障害患者の家族が自宅介護を希望しても保険会社が反対する場合には、自宅介護が行える要件を満たしているのならば、裁判所も自宅介護を認めるため、もめた場合には弁護士に相談をした方が良い。