遷延性意識障害の医療的なチューブによる治療とは?
「遷延性意識障害の患者は、眠ったままの状態で、体中にチューブがたくさん刺さっている」と、痛々しい状態を思い浮かべる方もいると思います。
遷延性意識障害患者によっては、治療のための経管がたくさんされていることもあります。
しかし、食事の時に鼻からのチューブで流動食を胃に流し込んだりする経管栄養だけであったり、患者が経口により食事をしている場合にはそれすらもせず、見た目はただ寝ているようなケースもあります。
介護する側からすると、「家族がチューブだらけであるのは見るに堪えない」と言われることがあります。
ですが、見た目が痛々しいからと言って、必要なチューブによる治療を止めてしまうと、かえって患者に対してよくない場合もあります。
医学的なチューブによる治療を正しく知ることで、医師や看護師からチューブによる治療の提案を受けた際に、行うかどうかの正しい判断ができます。
ここでは、代表的なチューブによる医療行為を説明して行きたいと思います。
チューブ治療には意味がある
1.点滴
経管の医療行為の代表的なものに、点滴があります。
口では食べ物が食べれなかったり水が飲めなかったりする場合の、栄養補給・水分補給を目的としています。
また、投薬に関しても、口から飲めなかったり、直接血管に投与した方が効果が高い場合には、点滴に混ぜてすることもあります。
2.経管栄養
これも口から栄養が取れない際に、鼻や口から通したチューブや、胃ろうから流動食を胃に直接流し込み栄養補給する方法です。
3.尿カテーテル・肛門ドレーン
遷延性意識障害であっても、排尿・排便と言った生理現象が起こります。
おむつを利用される遷延性意識障害の患者が多いのですが、「排尿量が多くおむつ替えを頻繁にしなければいけない」「怪我などにより仰向けのまま体を動かしてはいけない」といった理由から、尿道カテーテルによる排尿がされることがあります。
また便に関しても同じような理由から、肛門ドレーンが使われることがあります。
4.ドレーン
体の中に水や血液・膿などが溜まっている場合に、患部にチューブを差し体外に排出することをドレーンと言います。
体の中に溜まってしまった有害なものを外に出す治療なので、これを行わないと症状によっては生命の危険性があることも。
こうしてみると、遷延性意識障害の患者によっては必要不可欠なものが多いということがわかると思います。
しかし、経管栄養の他に経口摂取を併用されている方もいますし、尿カテーテル・肛門ドレーンなどはオムツを頻繁に交換できる手間があるのならば、しなくても良いケースもあります。
患者や介護する人の状況に応じて、使い分けてもいいかもしれません。
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遷延性意識障害であっても、医学的にリハビリは有効と考えられており、音楽療法やアロマ療法など様々な種類がある。
聴覚は五感の中で最後まで遷延性意識障害患者が認識できる器官と言われているため、音楽や声などを患者に聞かせることにより、脳を刺激して活発化させると考えられている。
3カ月以上入院している患者に対して健康保険が病院に支払う保険点数は激減するので、遷延性意識障害の患者は、入院から2カ月以上経つと、病院側から転院を促される。
予断を許さない症状である急性期ではない遷延性意識障害患者は、入院から3ヶ月程度で転院を促される。症状固定をし、退院した後は、様々な事情から自宅介護を選ぶケースが多い。
遷延性意識障害のケアは、食事や投薬の管理のほか、体位変換、排泄のお世話や体の清拭、口腔内の洗浄など、医療的なものから一般的なものまで多くの種類がある。