遷延性意識障害の損害賠償では何を保険会社に請求できる?
交通事故の被害者になった場合、加害者側の保険会社へ、必要な慰謝料や損害賠償の請求を行う事が必要です。
治療費、休業損害などの様々な項目がある中、遷延性意識障害となった場合には、それらとは別の損害賠償請求項目があります。
一度保険会社と示談を結んでしまうと、それ以降の損害賠償請求をする事ができなくなるため、示談で成立した保険金で対応しなければなりません。
それはある意味、被害者が自ら負担しているのと同じ事です。
被害者であれば発生した、そしてこれから発生するであろう損害に関しては、しっかり請求しておく必要があります。
そのためには、どのような請求項目があるのか、前もって確認しておく事が大切です。
遷延性意識障害の場合、何が請求できる?
交通事故で遷延性意識障害となった時、治療費や入院費は当然ですが、今後の転院に関わる移動費も請求するべきです。
遷延性意識障害の場合、3ヶ月に1度の転院が求められ、寝たきりの患者を移動させるのには、料金が高い民間の救急車を利用しなければなりません。
その点も考慮し、慰謝料の増額を図ります。
また、自宅で介護される場合、それに必要な費用を請求します。
例えば介護のために自宅を改装しなければならない場合、理学療法士などの助言を基に改装し、必要経費を請求します。
加えて、専用のベッドや移動用リフトのほか、使い捨てオムツなどの雑費も認められるでしょう。
そして介護のために職業介護人を雇う場合、雇うのにかかる費用も請求できます。
また、仮に職業介護人を雇わず、家族で被害者の介護をしていく場合に関しましても、同じく介護費用を請求できるのです。
家族が介護をするのなら費用を払わないと主張される可能性がありますが、基本的に裁判ではその主張は認められず、家族が介護する場合にも費用を請求できます。
被害者が交通事故に遭う前に仕事をしていた場合、将来的に得られるはずだった収入も補償されます。
この事を逸失利益と言います。
交通事故に遭わなかった場合にかかっていたはずだった生活費は控除され、平均寿命を加味したり、ライプニッツ係数を参考にしたりして算出されるのです。
そして請求できる項目の最後は慰謝料で、後遺障害等級に応じた慰謝料も請求できます。
交通事故で遷延性意識障害となった場合、これらのような損害賠償請求を行えますが、保険会社へ正当な主張をし、さらに正確な金額を算出する事が求められます。
個人で対応するには複雑な部分が多いため、弁護士に依頼して対応してもらうのが、ご家族の負担を緩和するのに良いでしょう。
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家族が交通事故に遭い遷延性意識障害患者となった場合、患者家族が交通事故の加害者に対して家族への慰謝料を請求することは難しいので、事前に弁護士に相談をするとよい。
遷延性意識障害の被害者が、交通事故の示談成立前に死亡した場合、示談内容はいったんリセットされる。交通事故との因果関係を確認しながら、改めて損害内容を確認、手続きを行う。
交通事故で遷延性意識障害になった場合、保険会社は遷延性意識障害患者の余命を平均余命より短く計算して賠償金額を計算するので争点になりやすい。
遷延性意識障害は意識の戻らない、いわば植物状態となる重い後遺障害である。後遺障害等級認定では、最大となる1級の認可が下りるため、高額な損害賠償を請求できる。
交通事故により遷延性意識障害となった場合、自宅介護を認められるにはいくつかの条件がある。裁判で認められて適正な介護費用を提示されるためには、弁護士に依頼するのもひとつの手である。