遷延性意識障害における後遺障害等級認定手続きの方法は?
遷延性意識障害と診断された場合、およそ1年~1年半ほどで症状固定となります。
医学的には、症状が3ヶ月以上続くことで遷延性意識障害と認められますが、後遺障害等級認定のためには6ヶ月以上の治療・通院期間が基準となっています。
初期段階では障害レベルの改善がみられる可能性があるためです。
症状固定したら行うのが後遺障害等級認定のための手続きであり、「事前認定」と「被害者請求」という2つの方法があります。
保険金の支払いを低く抑えたい保険会社主導の事前認定では、実際より低い等級にされてしまう可能性があり、より適正な後遺障害等級認定を受けるには、被害者自身が行う被害者請求を選ぶ方が有利です。
被害者請求であれば、損害賠償請求に先立って自賠責保険の支払いを受けることができ、必要な介護費、自宅改造費などに充てることができるのもメリットです。
後遺障害等級認定手続きの経過
遷延性意識障害の後遺障害等級認定にまず必要なのが、脳のCT検査です。
脳のCT画像で脳室の拡大を明らかに示すことで、脳への深刻なダメージを客観的に確認します。
さらに意識障害の検査も必要で、一般的なのはJCS(ジャパン・コーマ・スケール)という検査です。
点数が高いほど意識障害は重篤と判断され、遷延性意識障害では200~300点といった結果になります。
検査が終了したら、自賠責所定の「後遺障害診断書」を取り寄せて主治医に作成を依頼します。
診断書には「脳CTにて脳室拡大著明」「JCSⅢ-200」といった記載がなされます。
この診断書に加えて、被害者家族が記入する「日常生活状況報告書」という書類の提出があります。
「部屋の掃除や整理、後片付けなどができますか」などの質問に回答することで、本人の日常生活能力レベルを報告するための書類です。
後遺障害等級は体の器官ごとに細かく分類され、障害の度合いで1級~7級までに区分されます。
遷延性意識障害は体幹機能障害のうち、「体幹の機能障害により座っていることができない」という基準の1級認定を受けることが多くなります。
法律に関しては素人である被害者家族が仕事や介護の合間をぬって、後遺障害等級認定のために必要とされる書類を準備し、手続きを進めたり、保険金支払いを抑えるために後遺障害等級を低く算出しようとする保険会社と専門的な交渉を行うのは大変な困難を伴います。
そんなときに頼れるのが、交通事故後の手続きや交渉に詳しい弁護士なのです。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故で被害者が遷延性意識障害となった場合、後遺障害等級認定を受ける事ができる。しかし、それには適切な手順に沿って対応していく必要があるため、確認すべきである。
交通事故で遷延性意識障害となった場合、むち打ちや死亡事故などとは異なる損害賠償の請求項目がある。将来的に余計な経済的負担を負わされないためにも、抜けなくチェックする事が大切である。
遷延性意識障害の被害者が、交通事故の示談成立前に死亡した場合、示談内容はいったんリセットされる。交通事故との因果関係を確認しながら、改めて損害内容を確認、手続きを行う。
遷延性意識障害患者を患者家族自身で介護していくためには、医師や弁護士など専門的な相談先を多く持っている方が、思わぬ解決方法や自分にあった解決方法が見つかる可能性が高くなる。
遷延性意識障害患者の親族が成年後見人となる事は年々難しくなってきており、親族自身が成年後見人になりたい場合には事前に弁護士との打ち合わせが必要になる。