閉じ込め症候群とは?遷延性意識障害との違いは?
遷延性意識障害と類似した症状に、「閉じ込め症候群」というものがあります。
閉じ込め症候群とは、患者の正常な精神が麻痺した体に閉じ込められた状態を指します。
一見すると閉じ込め症候群は、遷延性意識障害と同じく自力で動くことができず、発声なども出来ない状態なのですが、決定的に違うのが「患者の意識が覚醒している」ことです。
遷延性意識障害は「意識障害」の言葉からも分かるように、患者の意識が混濁もしくは反応がありません。
しかし、閉じ込め症候群は本人の意識は正常にありますし、目を開ければ周りを見ることもでき、耳も聞こえている状態なのです。
そのため、遷延性意識障害と思われた患者が実は閉じ込め症候群で、患者が奇跡的に回復した際に「意識があった」と告白することがあります。
医師でも難しい遷延性意識障害と閉じ込め症候群の診断
遷延性意識障害と思われていた患者が、実は閉じ込め症候群であった話を聞くと、「やぶ医者で診断を誤ったのではないか?」と疑問を持たれる方もいると思います。
もちろん医師の見落としがあった例もありますが、遷延性意識障害と閉じ込め症候群の診断は非常に難しいことが挙げられます。
交通事故後、遷延性意識障害の状態が続き、半年後医師が診断を下した時点では遷延性意識障害であったのに、さらに半年後に意識だけが回復して閉じ込め症候群となった場合には、再検査をしない限り医師でも気が付かないケースがあります。
また、閉じ込め症候群の状態で医師の診断を受けた場合でも、遷延性意識障害の要件が
・眼球は動いても、動く指先を目で追うなどの認識をすることは出来ない。
・声を出しても、意味のある発言は全く不可能である。
・「まぶたを閉じて」などの簡単な命令には辛うじてすることもあるが、ほとんど意思疎通は不可能である。
そのため、単にまぶたを閉じただけでは閉じ込め症候群と気づいてもらえず、視線においても目の筋肉が麻痺してうまく動かせない場合には、アイコンタクトに気が付いてもらえないということになります。
ですから、遷延性意識障害と思われている患者の中の、閉じ込め症候群の潜在的な患者数は正確に把握することは困難と言えます。
遷延性意識障害患者の介護者は、日ごろから患者の観察を欠かさず、少しでも変化があれば、継続的に注視して観察を続けることが重要となります。
ですが、「どういったものが回復のサインかわからない」と思われる方もいると思います。
遷延性意識障害から回復した患者家族や患者自身がネットで情報を発信していたり、本が出版されていたりしますので、参考書代わりに目を通してみると良いかもしれません。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
遷延性意識障害の意識の回復は、目線や小さな変化により気づくことが多いので、介護人は観察力が必要となる。
遷延性意識障害患者の中には、人工呼吸器が必要となる人もいる。人工呼吸器が必要な遷延性意識障害患者の自宅介護は、かなり重篤なレベルとなるので、それを踏まえて家族は検討する必要がある。
遷延性意識障害患者を自宅介護する場合には、定期的な受診が必要になってくるが、適切な受診が受けられないこともあるので、退院前に介護計画を念入りに立てる必要がある。
遷延性意識障害の患者に対してのマッサージの有用性は、医学的にも認められているため、介護者は「さする」マッサージを中心に行うことが良い。
遷延性意識障害患者を患者家族自身で介護していくためには、医師や弁護士など専門的な相談先を多く持っている方が、思わぬ解決方法や自分にあった解決方法が見つかる可能性が高くなる。