遷延性意識障害となった原因の加害者と連絡が取れない場合
交通事故の加害者と連絡が取れなくなるというのは、よく聞かれることです。
特に自賠責保険にしか加入していない場合には、自動車などの物損は自腹になりますし、人身部分も自賠責保険の範囲内でしか補償できないため、金銭的に余裕がない加害者の場合、夜逃げに近い形で姿をくらますこともあります。
遷延性意識障害の場合、損害賠償請求額が1億を超えることが普通にあり、一般的な収入しかない加害者であれば、一生かかっても払いきれないということもあります。
そのため、交通事故の直後から音信不通となる加害者もいれば、示談交渉を始めて遷延性意識障害の損害賠償金額の多さに驚き失踪してしまう加害者も、実際問題います。
遷延性意識障害の患者や患者家族からすれば、交通事故の補償が受けられなくなるかもしれない重大な問題ですので、加害者の動向には注意しなければいけないのですが、遷延性意識障害の家族を抱えてそこまでするには難しいという面もあります。
そのため、早期の段階で弁護士に介入してもらい、加害者の資産や勤務先などを調べ上げて、裁判所を通じて最悪差し押さえの処分をすることを加害者に通達して、けん制するのも良いでしょう。
加害者と連絡が取れなくなった場合には
様々な手を打っていても、加害者と連絡が取れなくなってしまうことがあります。
加害者側が任意の自動車保険に加入していた場合には、加害者と連絡が取れなくなったとしても交渉相手は保険会社になりますので、そのまま遷延性意識障害の示談交渉を続けることができます。
厄介なのが任意保険に加入しておらず、加害者本人と直接交渉をしていた場合です。
電話連絡の順は、加害者本人の電話・自宅・勤務先・親兄弟などの親類となりますが、逃げている加害者であれば、電話で連絡が取れることは稀です。
内容証明付きの郵便を送ったり、自宅に行っても、引っ越していてもぬけの殻ということもありますので、一個人で探すことには限界があります。
その場合、弁護士であれば住民票の移動から転出先を割り出すことも出来ますが、住民票を移動していない場合には、空振りとなってしまうこともあります。
もう一つの方法が刑事裁判を利用する方法です。
遷延性意識障害を伴う交通事故の場合、検察庁に書類送検されます。
近年では被害者の心情をくみ取る意見陳述も出来ますので、裁判が起こる前、もしくは進行中に遷延性意識障害の患者側から「加害者は示談に応じないだけでなく、故意に連絡を断っている」と言うことができます。
そうなると、裁判官の心情は加害者に対して悪くなりますし、刑事裁判で被告人である加害者が理由なくして出廷しなかった場合には、裁判所の心証は最悪になり実刑を下される可能性が高くなるため、加害者の多くは渋々ながらも出廷することが多いです。
また、刑事裁判となった場合には加害者にも国選弁護人がつけられることもあるので、その弁護士を通じて、「きちんと示談交渉に応じてもらえないのであれば、刑事裁判上で厳しい判決を望むように裁判所に申し立てると同時に、民事裁判もします。」と加害者に伝えるのも良いでしょう。
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遷延性意識障害となった交通事故の加害者に裁判を起こす利点は、損害賠償金などの増額があるが、欠点もあるため弁護士の相談の上裁判をするか決めた方が良い。
遷延性意識障害の示談交渉では、裁判した場合の損害賠償を前提として示談金を増額できる可能性がある。その参考となるような高額な賠償金判決例を紹介。
遷延性意識障害となった被害者は意識不明のため主張ができず、加害者の言い分に沿った過失割合での示談成立になりがちなため、弁護士と相談してきっちり反論する必要がある。
遷延性意識障害患者の在宅介護を保険会社や裁判所に認めさせるためには、無理のない在宅介護のプランを立てる必要がある。
成年後見人による遷延性意識障害患者の財産運用は、元本保証がされた安全性の高いものに限られて利回りがよくないので、示談時に十分な損害賠償金を受け取ることも必要になってくる。