遷延性意識障害の示談に弁護士が必要な理由とは
最近では「交通事故の示談は弁護士に任せる」という考えが広がっています。
自動車保険に弁護士費用特約が付帯しているものが多く、自動車保険のCMでも弁護士費用特約に触れているものもあるため、認知拡大の一助となっていると言えます。
交通事故で家族が遷延性意識障害となった場合、弁護士に依頼することをお勧めするというよりも、弁護士に相談は必須とも言えます。
なぜならば、交通事故の被害者は遷延性意識障害の状態で生き続けますし、その介護問題が家族にかかってくるからです。
遷延性意識障害患者が亡くなるまで入院したり療養施設に入所するには、高額では済まされない金額が必要となってきます。
仮に入院費が月額20万円で平均余命が20年ならば、単純計算で20万円×12か月×20年=4800万円にもなります。
患者が10代・20代であれば平均余命は50年・60年あるわけですから、入院費だけで軽く1億円を超えてくるからです。
自賠責保険では賄いきれない遷延性意識障害の費用
交通事故の場合、自動車には自賠責保険という強制保険がかかっているため、遷延性意識障害の場合、自賠責保険から最高4000万円の保険金が支払われます。
「最高4000万円」ですので、「4000万円までしか支払われない」という意味と、「ケースによっては4000万円以下しか支払わない」という意味が含まれています。
先述したとおり、遷延性意識障害の介護費用はかなり高額になる事もあるのですが、自賠責保険からは4000万円までしか支払われず、脊髄損傷となった被害者にも多大な過失があった場合には自賠責保険では過失相殺が緩和されているとはいえ、最大5割の過失相殺があるため2000万円しか支払われない、もしくは自賠責保険からは支払われないというケースもあります。
こういった保険金の支払い状況から弁護士に依頼する利点は何かと言うと、治療費を出来るだけ多くもらう事と、示談という煩雑な手続きを法の専門家の弁護士がしてくれるという点です。
交通事故の場合、加害者や加害者側の保険会社は自賠責保険ベースの保険金の支払金額を提示してきますが、弁護士は被害者の実情に則した判例ベースの金額を請求するため、この時点で数百万・数千万円の差が生じます。
また、遷延性意識障害の交通事故では加害者の一方的な主張による過失割合がまかり通る事が多いのですが、弁護士は交通事故の状況から客観的に過失割合を計算するため、「過失割合は8:2と言われていたが、弁護士が調査してくれて2:8に逆転した。」ということも少なくありません。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
18歳~64歳の遷延性意識障害患者は、介護保険等の公的な支援が受けられず、手当てが少なくなるため、加害者側に十分な介護費用を請求する必要性がある。
交通事故により負った遷延性意識障害の示談をする場合、将来的な介護も考えて交渉しなければいけないので、弁護士に相談をして示談交渉を進めるとよい。
遷延性意識障害となった被害者は意識不明のため主張ができず、加害者の言い分に沿った過失割合での示談成立になりがちなため、弁護士と相談してきっちり反論する必要がある。
症状固定後は加害者に治療費は請求できないが、遷延性意識障害の場合、将来的な治療費や介護費を示談時に請求することができるため、弁護士に相談するのが望ましい。
交通事故で遷延性意識障害になった場合、保険会社は遷延性意識障害患者の余命を平均余命より短く計算して賠償金額を計算するので争点になりやすい。