遷延性意識障害におけるマッサージの重要性
遷延性意識障害の病院でのリハビリには、理学療法士が行う運動療法や物理療法が用いられます。
主に動かさなくなった事による、筋肉の低下や関節の硬化を防ぐ目的があります。
しかし、自宅介護の遷延性意識障害の患者の場合は、介護サービスで理学療法士に来てもらう他は、介護している家族がリハビリを行うことになります。
多くの介護家族が遷延性意識障害の患者の回復を願って、日々リハビリをされていると思いますが、介護者が高齢であったり非力であったりする場合には、満足な運動療法を行うことができないことがあります。
そのため、多くの場合に推奨されているのがマッサージです。
「マッサージなんて遷延性意識障害の患者には効果がないんじゃないか?」「ツボとかの東洋医学の知識がなければできないのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、たかがマッサージと侮ってはいけませんし、「医学的な知識がないから出来ない」とも思う必要はありません。
もちろん、東洋医学などの知識があればさらに効果があるかもしれませんが、本格的な知識がなくても行うことができるのが、マッサージのいいところです。
マッサージで触感を刺激する
マッサージと言うと「ツボ押し」を思い浮かべる方が多いですが、遷延性意識障害の患者の場合は、ツボを「押す」よりも「さする」ことの方が多いです。
整体院などでマッサージを受けた経験がある人ならばわかるかもしれませんが、指圧も気持ちいいですが、患部全体をさすってもらうのも心地よいことがあります。
これはさすることにより、ツボをソフトに刺激するだけでなく、摩擦により血行を良くしたり、温まることにより筋肉を柔らかくする作用があるからです。
また、人肌に触れることによる心理的な安心感から、自律神経の副交感神経が優位となりリラックスできるという面もあります。
そのため、遷延性意識障害の患者へのマッサージは、腕や足をさすって刺激を与えることを中心に行えば、ツボなどの知識がなくても一定の効果があります。
遷延性意識障害患者の介護家族の中には、体にいいが強めに押すことにより痛みを感じるツボを押す人もいます。
そういったツボを押した時に、不快そうな声をあげたり、体を動かして逃げようとするような、痛みを感じたときの反応をする、遷延性意識障害の患者もいます。
ですが、ツボによっては素人には分かりにくく、時には見当違いのツボを押して逆効果と言うこともありますので、「押す」タイプのマッサージには注意する必要があります。
交通事故の遷延性意識障害の治療を専門としているNASVAでも、「腹部のマッサージによる便通の改善」や「アロマオイルを使用したフットマッサージの効果の検証」など、マッサージに関する有用性の学会発表を行っています。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
遷延性意識障害の意識の回復は、目線や小さな変化により気づくことが多いので、介護人は観察力が必要となる。
遷延性意識障害であっても、医学的にリハビリは有効と考えられており、音楽療法やアロマ療法など様々な種類がある。
遷延性意識障害で口から食事をしない場合でも、口内の洗浄を怠ると口内の細菌が増えたり、カビが生えたりするため、毎日の口腔ケアが必要である。
筋肉が衰えると様々な障害症状が出てくるため、遷延性意識障害でも筋肉トレーニングが不可欠である。
遷延性意識障害患者の中には、人工呼吸器が必要となる人もいる。人工呼吸器が必要な遷延性意識障害患者の自宅介護は、かなり重篤なレベルとなるので、それを踏まえて家族は検討する必要がある。