遷延性意識障害のリハビリの種類について
遷延性意識障害でリハビリと言うと、「え?呼びかけにも答えないで寝てるような状態なのに、リハビリなんて意味があるの?」と言う方もいます。
それは大きな勘違いです。
遷延性意識障害の患者家族で長年お世話をしている人ならば、交通事故などで入院した病院の医師や看護師からリハビリを勧められた経験があるでしょうし、自宅介護をしている人ならば、日常のケアと併せてリハビリを行っています。
また、遷延性意識障害専門の医療施設でも、治療プログラムに加えリハビリプログラムを併用することにより、遷延性意識障害のレベルの改善に大きく貢献しています。
リハビリは地道なものが多く、行ってすぐに効果が目に見えて現れるわけではないので、「遷延性意識障害の患者にリハビリなんて意味はない。」と言われますが、誤った認識なのです。
自宅でも出来るリハビリ
リハビリと聞くと大掛かりな施設や設備が必要かと思いがちですが、実際には家にあるものや道具すらいらないものもあります。
遷延性意識障害のリハビリで一番有名なのが、「音楽療法」です。
病院などではクラシックや自然音のヒーリング音楽が使われますが、自宅療養の時には遷延性意識障害の患者が好きだった音楽をかけることもあります。
ある遷延性意識障害の患者は、会社に行く前に決まったニュース番組を見るのが習慣であったので毎日つけていたところ、オープニングの音楽が流れるとまぶたを開くようになったということもあります。
他には「アロマ療法」があります。
香りと言うのは、脳の中でも一番原始的な部分により感じており、いわゆる「本能」に直結しています。
健常者でも同じで、たとえば「土が雨に濡れた香り」を嗅いだ時に、それに連動して小学校の校庭を思いだし小学校の記憶がよみがえるというのも、そのような脳の作用によるものです。
そのため、アロマオイル以外に、患者が好きであった香水やタバコ、好物の料理やお菓子などを嗅がせたり、口に少量含ませたりします。
「温冷交代」というリハビリ方法もあります。
温めるのと冷やすのを交互、もしくは片方だけ行い刺激を与えるリハビリで、足や手を交互に温め冷やすほかに、口に氷を含ませたり、火傷をしない50℃くらいのお湯(お茶やコーヒーなど)をスプーンで飲ませたりします。
リハビリのために、ハンモックを使っている人もいます。
普段は固定したベッドの上に寝ていますが、ハンモックですと程よい揺れと体を包み込むような感覚が、日常ではない刺激とバランスを与えると考えられます。
高さも危険が少ない床上20㎝ぐらいのものや、室内用に折りたためるものもあり、意外に手軽に始められるリハビリです。
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遷延性意識障害患者が長期入院するには、医療制度から難しい面があるが、長期入院を実施している医療療養型病院もわずかながらにある。
遷延性意識障害患者の中には、人工呼吸器が必要となる人もいる。人工呼吸器が必要な遷延性意識障害患者の自宅介護は、かなり重篤なレベルとなるので、それを踏まえて家族は検討する必要がある。
遷延性意識障害の患者に対してのマッサージの有用性は、医学的にも認められているため、介護者は「さする」マッサージを中心に行うことが良い。
遷延性意識障害で口から食事をしない場合でも、口内の洗浄を怠ると口内の細菌が増えたり、カビが生えたりするため、毎日の口腔ケアが必要である。
遷延性意識障害の意識の回復は、目線や小さな変化により気づくことが多いので、介護人は観察力が必要となる。