遷延性意識障害患者の食事はどのような方法がある?
遷延性意識障害の患者の日常のケアは、食事・口腔洗浄・着替え・床ずれ防止の体位変換・おむつ交換・体温管理・除痰作業など多数あります。
その中でも食事は、栄養管理も含めて健康に直結するため、重要なケアになります。
多くの遷延性意識障害の患者は固形物が呑み込めないため、流動食による食事が中心となります。
また経口摂取ではなく、口や鼻からチューブを胃まで差し込んで流動食を流し込む経管方法か、胃ろうにより直接胃に流し込む方法がとられます。
どちらの方法も、メリット・デメリットがあります。
口からチューブを入れる場合には、喉の奥にチューブが当たると反射神経により吐き出そうとするため、むせることがあります。
そのため、鼻からチューブを入れる方法が多く取られるのですが、鼻の粘膜が弱い方などは炎症を起こすことがあります。
また、食道をチューブが通るため食道の粘膜を傷つける可能性があり、誤って肺の方にチューブを挿入してしまうと肺炎や、時として窒息事故を引き起こすことがあります。
流動食を注入中に誤ってチューブが手に当たり抜けてしまうと、患者や周りを汚すだけでなく、流動食がのどに詰まってしまう可能性もあります。
口や鼻からの経管よりメリットのある胃ろう
もう一つの食事方法が胃ろうと言う方法です。
胃ろうは胃に穴をあけてお腹の外へ管を通し、その管を通して直接流動食を胃の中に流し込みます。
遷延性意識障害の患者の場合、飲み込む力が弱いことが多いので、入院中に胃ろう手術を勧められることも多いと思います。
日本では、胃ろうは手術をしなければいけないため消極的な人が多いですが、アメリカなどでは、ポピュラーな術式として普及しています。
胃ろう部分の衛生管理は必要ですが、誤嚥の危険性がなくなるため、ひいては肺炎の併発の可能性を低下させます。
また、口や鼻からの経管にあったデメリットが全くなくなり、管が太いため注入の時間が短くて済むという利点があります。
胃ろうをしていても、経口による食事が大幅に制限されるわけではないので、リハビリでゼリーなどの嚥下の訓練も引き続き行うことができます。
もう一つの大きな利点が、遷延性意識障害の患者が回復して経口による食事ができるようになった時に、胃ろう部分のチューブを抜く処置をすれば、胃ろう手術以前に戻れる点があります。
流動食自体も、口や鼻からの経管で使っていたものを変わらず使用することができ、通院している病院や流動食を製造している大手食品メーカーから購入できるため、入手も比較的容易にできる点も挙げられます。
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遷延性意識障害患者の栄養補給は、流動食によるものになるため、水分不足やカロリー不足、必要栄養素以外の体調を整える成分を摂取できないという問題がある。
遷延性意識障害のケアは、食事や投薬の管理のほか、体位変換、排泄のお世話や体の清拭、口腔内の洗浄など、医療的なものから一般的なものまで多くの種類がある。
遷延性意識障害の場合、点滴などのほかに経管栄養や尿道カテーテルなど、チューブを用いた医療行為がある。
交通事故で遷延性意識障害となった場合でも、交通事故当時の職業によっては逸失利益が認められないか、もしくは減額をされることがある。
脳死は生命維持を司る脳の機能が失われているため放置すると自然死するが、遷延性意識障害の場合栄養管理などをすれば、生き続けることができる。