脊髄損傷となり室内移動が困難となるケースについて
交通事故による脊髄損傷で歩行が困難となった場合、移動する際には車いすや杖を使います。
これらの歩行補助器は、歩行が困難な脊髄損傷患者にはなくてはならないものなのですが、これらはどちらかというと外出用で、室内移動となるとまた話が違ってきます。
重度の脊髄損傷で車いすでしか移動ができなくなった患者の場合、外出は車いすであっても、家では車いすでないということは多々あります。
理由はいくつかあり、1つ目は日本は靴を脱ぐ文化であるため、外出に使った車いすを家でも使うのに心理的な抵抗がある点です。
2つ目は、日本の建築様式が車いすにあっていない事です。
マンションや新築の家ではバリアフリーの間取りもありますが、靴を脱ぐために玄関に段差があったり、廊下が車いすが通れないほど狭かったり、廊下の角が車いすでは曲がりきれないといった、車いすでの生活が困難な間取りが多いからです。
そのため、介護者がいる場合には抱きかかえるなどをして、ベッドや椅子に運ぶということが多いのですが、一人暮らしなどで介護者がいない場合には、車いすから自力で降りて、匍匐前進の様に這いずっていったり、座った姿勢でプッシュアップして移動するといった脊髄損傷患者もいます。
室内の移動を快適にするために
杖を使って移動可能な脊髄損傷患者であれば、廊下や階段には手すりを設置し、室内など手すりの設置が難しい所は室内専用の杖を利用して移動することができます。
車いすでの移動しか出来ない場合には、室内専用の小型で小回りが利く6輪型車いすなどを用いることが多いです。
車いすの移動も廊下の幅が狭いなどで難しい場合には、オフィスで使うようなキャスター付の椅子や、上半身が自立できる方は背もたれなしのキャスター付の椅子やオットマンを利用して、室内を移動される方もいます。
しかし、室内用車いすなどの利用で問題となるのが、乗り換えです。
介護者がいれば補助してもらいながら乗りかえることも可能ですが、下半身の自由がきかず上半身のみの機能のみで、脊髄損傷患者が一人で車いすから車いすに乗りかえるのは、時として危険なこともあります。
また、玄関に乗り換えが行えるだけのスペースが無い事も多くあります。
脊髄損傷で車いす生活となった場合、車いすで外出することは思い描くことが出来ても、室内での移動手段をどうするかの壁に突き当たる事が多いです。
室内が車いすで生活できる間取りであればよいですが、そうでないのであれば入院期間中にシミュレーションして準備する必要があります。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
脊髄損傷患者が受傷後に自宅マンションに住み続けるのが困難といった問題が起こった場合、改装や引っ越しを検討しなければいけない。その場合、弁護士に依頼をしてアドバイスを受ける方が良い。
交通事故により脊髄損傷を負い、歩行困難となった場合には、移動に必要な杖や車いすの購入費用のほかに、福祉車両や民間救急車などの移動手段についても請求できることがある。
保険会社が事故による脊髄損傷と認めないケースには、事故が軽微であったり、症状の発症が遅いことがあげられる。保険会社に認めさせるには、弁護士に相談をした方が良い。
交通事故で脊髄損傷を負い、被害者が介護の必要な状態に陥った場合、将来的な介護費用を請求すれば認められる可能性がある。正当な理由を主張するためにも、弁護士に相談してみるとより安心できる。
脊髄損傷となって自宅介護する場合、職業介護人の費用を保険会社に請求することができるが、容体などによっては介護人の費用が認められないこともある。