脊髄損傷での障害年金の受給資格とは?
交通事故で脊髄損傷となられた方の中には、後遺障害認定を受けられている方も多数いらっしゃいます。
「後遺障害認定で5級がおりているから、障害年金がもらえるのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際は簡単に認定されるものではありません。
まず、後遺障害認定と国が定める障害者認定の基準や手続きは異なると言う点です。
後遺障害認定を受けたからと言って、国(厚生省)に自動的に障害者認定されるものではなく、別個の手続きが必要になります。
また、障害者の認定は「医師の診療後1年半経ってから」との基準があり、それよりも以前に認定されるには、「足の切断」など特殊な事情が必要になります。
また、身体障害者の等級は1~7等級まであり、1~6までが障害者手帳が発行されます。
また障害基礎年金の受給の基準は、1級・2級・3級と別れています。
「じゃあ、障害者の等級が4級以下では、障害年金はもらえないの?」と言うと、これもまた違います。
厚生省の障害基礎年金の基準は、
1級
・両上肢の機能に著しい障害を有するもの
・両下肢の機能に著しい障害を有するもの
・両眼の矯正視力の和が0.04以下のもの
・その他
2級
・1上肢の機能に著しい障害を有するもの
・1下肢の機能に著しい障害を有するもの
・両眼の矯正視力の和が0.05以上0.08以下のもの
・その他
としており、他と異なっています。
また、3級の基準に該当する障害者は、国民年金からの支給はなく、加入している厚生年金や共済年金から独自に給付される形になるので、認定されても障害年金がもらえない場合もあります。
交通事故での脊髄損傷の場合について
脊髄損傷の原因の約半数を占めている交通事故ですが、交通事故による脊髄損傷であると、障害年金が減額されたり、全くもらえないと言うケースがあります。
障害年金は他からの手当てがあったり、補償金が支払われている場合には、減額や支給に非該当となります。
例を挙げて言うと、「就業中の事故のため労災から手当が出ている」、「交通事故の加害者や保険会社から相応の損害補償金を受け取っている」、「被害者自身に大きな過失が有る事故である」と、少し複雑な面があります。
そのため障害年金の申請をしたけれども、等級は認められたものの障害者年金が支給されなかったり、障害年金が支給された後に損害補償金を受け取ったため、年金の受給打ち切りがあったりする可能性もあります。
ですので、交通事故の脊髄損傷により障害年金の支給を受けたい場合には、事前に弁護士に相談して、受給資格があるかどうか確認した方が良いでしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故による脊髄損傷において後遺障害等級が必ずしも正しく認定されているわけではない。弁護士に依頼して異議申し立てを行えば、適切な対策が立てられるため、まずは弁護士に相談するのが望ましい。
脊髄損傷の損害賠償請求の示談は交通事故から3年が時効とされているが、後遺症がある場合には、症状固定日から3年が時効となる。
脊髄損傷でまれに上半身麻痺が起こることがある。珍しい症例のために脊髄損傷との因果関係に気付かない医師もおり、示談が不利になるケースもあるため、交通事故に詳しい弁護士に相談をするとよい。
脊髄損傷でセカンドオピニオンを受ける大きなメリットは、精度の高い診断を受けられる点である。
交通事故により脊髄損傷となった場合、損害賠償請求の時効は交通事故日から3年であるが、後遺障害が残った場合は、症状固定をした日から3年というのが判例として残っている。