脊髄損傷となり退院した後に困るキッチン事情とは?
交通事故で脊髄損傷を負われて入院された後、自宅に帰ってから日常生活を送られるのに、廊下やトイレ・お風呂などに手すりを取り付けたり、段差をなくしたりするリフォームを検討される方もいます。
脊髄損傷だと損傷個所によって障害の度合いがかなり違いますが、下半身まひで車いすを常時利用されていても、上半身は健常者と変わらず動かせるため、自立して一人暮らしされている方までいます。
そういった方が、退院して意外と困るのがキッチンです。
車いすのため、キッチンに対して平行に体を向けなければならず作業がしづらくなり、事故前は自炊されていた方などはかなりのストレスを感じます。
脊髄損傷を負ってから料理がしづらくなり、コンビニ弁当や総菜を買って食事を済ますという方も多くいます。
しかし、最近では車いすに対応したキッチンや、長時間立って作業するのが難しい人向けに座って作業できるキッチンもあります。
そういったキッチンの特徴としては、通常ならば鍋などの保管庫になるシンク下が解放されていて、テーブル状になっており、椅子や車いすが入れるようになっています。
リフォーム費用は少し高め
リクシルでは車いすに対応したキッチンを製造販売していますが、通常のキッチンよりも費用がやや高めで、収納個所も普通のものよりも少ないので、キッチン全体のリフォームも必要となり全体的に費用が高くなる可能性もあります。
また、車いすの高さに合わせたキッチン台の高さになるため、脊髄損傷患者家族からすると、台が低めで使いづらいというケースもあります。
しかし、脊髄損傷患者が以前のように生活できるというのは何物にも代えがたいので、リフォームをする際には検討すべきだと思います。
脊髄損傷が交通事故を起因とするものならば、加害者に対してリフォーム代を請求することができるケースもあります。
ただ、脊髄損傷患者や家族が希望するリフォーム内容を、加害者や加害者側の保険会社が納得するとは限りません。
交通事故前から一切家事をしていなかったとか、脊髄損傷の度合いが炊事できるレベルではない等であれば、車いすに対応したキッチンにリフォームする理由がないため、拒否される可能性が非常に高いです。
脊髄損傷となったのが専業主婦であったとしても、代わりの同居家族が炊事できる等であれば、加害者側も反対してくることもあります。
そのようなケースでは、事前に弁護士に相談をして、脊髄損傷患者の障害度合いやリフォームの必要性などを精査してもらい、リフォームは必要との意見をもらってから、弁護士を通して請求するとスムーズに行きます。
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交通事故により脊髄損傷となった場合、損害賠償請求の時効は交通事故日から3年であるが、後遺障害が残った場合は、症状固定をした日から3年というのが判例として残っている。
脊髄損傷は損傷の程度により、足先の痺れや、下半身麻痺であったりと症状にばらつきがある。交通事故による怪我が原因で生活が困難になった場合、リフォーム費用を加害者側に請求できる可能性がある。
脊髄損傷の症状は、交通事故発生からしばらくして現れることもあります。事故現場で自覚症状がなくても、警察を呼んで交通事故の報告をしましょう。
交通事故で加害者側が自動車保険に加入していても、重度の脊髄損傷の場合は保険金額が足りないこともあるので、保険の内容を確認する必要がある。
ライプニッツ係数は、交通事故による脊髄損傷の損害賠償に係る逸失利益や介護費を計算するうえで非常に重要な係数で、民法の改正により5%から3%へと変更された。