高度障害の脊髄損傷の保険金が高額になる理由とは
一口に脊髄損傷と言っても、軽い排尿障害から首から下が全く動かず全介護状態のものまで、症状が大きく異なります。
交通事故による脊髄損傷の後遺障害認定でも、一番重度である1級から、下から3番目の12級までと幅広いです。
そのため、下半身の完全麻痺以上の後遺障害の場合には、自動車保険の損保会社からの保険金が高額となる事があります。
損保会社を相手取った保険金に関する裁判で、1億円を超える判決が出たというニュースが流れたりしますが、多くの場合は死亡事故ではなく遷延性意識障害や脊髄損傷など、重度の障害による裁判です。
「私の親類が交通事故で脊髄損傷となったけど、ほとんど保険金を受け取っていない」という方もいるかもしれません。
その方の事故の過失が大きかったという例を除くと、通常は保険会社の保険金額が異様に低いと言うことが挙げられます。
保険会社と裁判では金額が変わる
保険会社も商売として保険業を営んでいますから、「保険金の支払いはなるべく抑えたい」と言うのが本音です。
そのため、自賠責の基準かそれに少し上乗せした金額を保険金として提示することがほとんどです。
交通事故による脊髄損傷の後遺障害の保険金だと、約4000万円が上限でそれ以下となる事も多くあります。
しかし、弁護士が介入して計算する場合には大きく変わってきます。
1つは、逸失利益についてです。
逸失利益とは、交通事故がなければ得られていたお金となります。
脊髄損傷で全身麻痺となり会社を退職しなければならなくなったという場合には、給料が逸失利益となります。
脊髄損傷の患者の年齢が若く、年収が高くなるほど逸失利益の額が多くなるのはわかると思いますが、専業主婦であったり学生の場合などは収入がないため、逸失利益を認めない保険会社があります。
しかし、弁護士の場合は判例に基づいて計算をするため、主婦や学生であっても高額の逸失利益が請求できることがあります。
次は、介護費です。
脊髄損傷の症状によっては、介護が必要となる事があります。
その介護費用も、保険会社は「家族がするのならば費用が掛からない」「脊髄損傷患者だと寿命が短いから減額する」など、裁判では到底通用しない主張をしてくることがあります。
ですが、保険のことをわからないため、「そんなものなのかな?」と介護費を受け取っていない人すらいます。
そのほかにも、介護のための自宅改装費・介護車の購入代金・介護機器の購入代金・家族に対する慰謝料など、弁護士が交渉することによってはじめて保険会社が渋々支払うといった保険金が多くあります。
そのために、弁護士を通じて交渉したら増額したり、裁判で高額な判決が出たりするのです。
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交通事故による脊髄損傷の損害賠償金には、交通事故日から遅延損害金が課されるが、一般の示談交渉では支払われることがほとんどないため、弁護士から請求をしてもらうと良い。
脊髄損傷の保険金は、症状の重さにより数十万円から時として億となる事もあるが、個人的に交渉をした場合には、保険会社の基準の最低限に近い金額しかもらえないため、弁護士に依頼をした方が良い。
脊髄損傷となった交通事故の示談を弁護士に依頼する利点には、損害賠償金の増額や法的なアドバイスが受けられる等があるため、弁護士を雇うことも検討してみると良い。
交通事故に遭い脊髄損傷を負って後遺障害が残った場合には、逸失利益が発生するが、被害者の職種などによっては、実情の損害とそぐわない逸失利益の額となることがある。
ライプニッツ係数は、交通事故による脊髄損傷の損害賠償に係る逸失利益や介護費を計算するうえで非常に重要な係数で、民法の改正により5%から3%へと変更された。