家族が脊髄損傷となった際に利用したい介護休業法について
家族が交通事故で脊髄損傷を負って症状が重篤であると、医師から介護として誰か付き添うように言われる場合があります。
リハビリ前の治療の段階であると、患者も体がうまく動かせないため、食事の介添えなどが必要となる事があるからです。
多くの場合は家族が介護に当たりますが、サラリーマンであったりすると、なかなか会社が休めないだけでなく、休むことによる給料の減額も気になってしまうと思います。
医師の指示があった場合は、介護人を雇った費用を交通事故の加害者に請求することができますし、家族が介護にあたった場合でも手当が支払われます。
しかし、具体的な医師の指示はないが家族が付き添いたい場合には、有給を使ったり休職したり、長期間の場合には会社を辞めたりと、家族にも大きな負担が生じるケースもあります。
1991年に育児・介護休業法が制定され、『2週間以上介護を有する家族がいるものは、1年に3回合計93日を上限とする休業を取得できる。』とあるのですが、育児休暇と比べて介護休暇の方はいまいち浸透していません。
働く人の味方『育児・介護休業法』
介護休業は厚生労働省が管轄しており、雇用保険加入者であれば利用できるうえに、休業中の給料も通常の67%が雇用保険より支払われます。
利用に条件はありますが、2週間前までに介護休業を申し出て書類を提出すれば、雇用者(会社)は拒否することができません。
また、介護が必要な状態を証明するのに、要介護認定や身体障害者認定を受ける必要はなく、厚生省が掲げる『常時介護を必要とする状態に関する判断基準』(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000145708.pdf)を満たしておればよいため、ハードルは高くありません。
さらには雇用者が介護休業を利用した従業員を、解雇したり不当な扱いをすることを禁止しています。
介護中の勤務形態の配慮や、時間外勤務の上限を定めたり、有給や介護休業とは別に年間上限5日で半日単位で取得できる『介護休暇』が与えられるため、『脊髄損傷患者を介護しながらの仕事』を患者家族があきらめる必要はないと言えます。
脊髄損傷患者と家族が、『家族は介護に専念したい』・『家族には仕事を続けてほしい』と様々な意見が出てどうすればよいのかわからなくなることもあると思います。
そんな時は、交通事故に精通した弁護士に相談するのが一番です。
脊髄損傷患者と患者家族の意向を汲み、将来的なライフプランを考えた上で加害者に対して損害賠償をし、その後の生活を維持できるようアドバイスしてくれます。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故で下半身麻痺の脊髄損傷を負った場合、車いすの購入費用を加害者側に請求できるが、購入前にいろいろと試してから購入した方が良い。
脊髄損傷による介護費用の請求は、脊髄損傷の重篤度により認められるときもあれば、認められないケースもあるため、事前に弁護士に相談して確認をした方が良い。
脊髄損傷となって自宅介護する場合、職業介護人の費用を保険会社に請求することができるが、容体などによっては介護人の費用が認められないこともある。
交通事故による脊髄損傷で、車いすなどの医療器具が永続的に必要となった場合には、将来的な購入費用も加害者に請求できる。
交通事故に遭い脊髄損傷を負って後遺障害が残った場合には、逸失利益が発生するが、被害者の職種などによっては、実情の損害とそぐわない逸失利益の額となることがある。