脊髄損傷を負った場合でも運転免許証を取得するためには
交通事故で脊髄損傷となられた方の中には、交通事故後も運転を続ける方や、交通事故後に運転免許を取得される方もいます。
ひと口に脊髄損傷といっても、首から下が完全麻痺である重度の方から、足先に軽い麻痺があるが、交通事故以前とほとんど変わらないといった程度の人まで千差万別です。
交通事故後も交通事故以前と変わらず運転できる人もいれば、自動車の運転が不可能な人もいます。
また、福祉車両と言われる体に障害がある人専用に改造された自動車ならば、運転できるといった人もいます。
脊髄損傷で後遺障害が認められる場合には、運転免許証取得の流れは一般とは異なります。
交通事故以前から運転免許証を取得されている場合も、一般的な免許の更新等とは違うため、注意が必要です。
免許の取得には医師の診断書が必要
脊髄損傷患者が新たに免許証を取得しようとする場合には、運転免許試験場(運転免許センター)で、適性相談と適性検査が必要となります。
免許を取得しようとする脊髄損傷患者の身体状態を聞き取り、どのような福祉車両ならば運転することができるかの公的審査を受けます。
この公的審査をクリアして、やっと教習所に通うことができます。
教習所では、一般の免許取得と同じように学科を取得しますが、自動車の実習に関しては福祉車両が必要となります。
福祉車両はどの教習所にもある物ではなく、また、障害に応じてさまざまな種類の福祉車両があるため、脊髄損傷の障害に合った福祉車両を所有している教習所に入所する必要があります。
仮免許が取得できれば、運転免許試験場(運転免許センター)で、適正検査と学科・技能試験を受けます。
技能試験の際には、自分の福祉車両を持ち込むことができますので、事前に試験を受けようと思う運転免許試験場(運転免許センター)に確認をした方が良いでしょう。
これらをすべてクリアすれば、晴れて免許証が取得できます。
すでに運転免許証を取得している人は、運転免許試験場(運転免許センター)で、臨時適正検査を受けます。
その際の審査結果は、無条件適格・条件付適格・不適格の3種類があります。
無条件適格は、脊髄損傷となる前と同じ条件で運転することが可能です。
条件付適格では、「条件付」で運転免許を保持することが許されます。
運転補助装置付など身体状態にあった物が取り付けられている福祉車両でのみ、運転が許可されることがほとんどです
不適格は、現状では運転することはできないと判断されたことになります。
これは永久的なものではなく、リハビリや訓練を経て身体状況が向上・好転した場合には、免許を取得できる可能性があります。
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交通事故により脊髄損傷となった場合の後遺障害等級は、7段階に区別される。脊髄損傷の後遺症が軽度な症状の場合、第12級など、下位の等級として認められる可能性がある。
脊髄損傷となった場合、体の傷が治癒し始めると早急にリハビリ計画が立てられ、リハビリをしていくことになる。麻痺をした部分であってもリハビリテーションの有用性がある。
脊髄損傷の症状は、完全麻痺やしびれなどが代表的なものではあるが、痛みや温冷を感じなくなるなどの感覚異常や、排尿や排便が困難になるなどの様々な症状がある。
脊髄損傷でまれに上半身麻痺が起こることがある。珍しい症例のために脊髄損傷との因果関係に気付かない医師もおり、示談が不利になるケースもあるため、交通事故に詳しい弁護士に相談をするとよい。
交通事故の規模が比較的軽微であっても脊髄損傷を受傷することがあるが、加害者側と後遺障害認定において揉めることがあるため、もめごとが起こった際はすぐに弁護士に相談した方が良い。