家族が脊髄損傷患者の介護をしても介護費用は出るの?
近年日本では、老老介護や超老老介護など、「家族間での介護」の問題が出てきています。
日本は古くから家単位での考えがあり、「家族扶助」の土壌があるからだと言えます。
そのため、「夫の介護を妻がするのは当たり前」「子どもが年老いた母の面倒をみる」といった話をよく聞きます。
交通事故で脊髄損傷となった場合、脊髄損傷の度合いによっては常時看護が必要な状態になることもあります。
そういったケースでは、脊髄損傷患者の家族は自宅での介護を望み、介護の担い手は妻などの配偶者や子であったりすることが多く見られます。
常時介護が必要な脊髄損傷患者であっても入院には3カ月の壁があり、同一の病院に長期入院が出来ないといった理由のほかに、「慣れ親しんだ自宅の方が脊髄損傷患者も回復が見られるかも?」といった理由や「毎月の入院費が支払えない」など、切実なものまであります。
家族による介護でも介護費用を請求できる
「家族が面倒をみるのが普通」といった考えの土壌から、脊髄損傷患者の家族による介護の介護費用がないがしろにされてしまうケースがあります。
入院中であっても医師が「介護が必要」と判断した場合には、雇った介護人の費用はもちろん、家族が介護した場合でも介護費用として加害者に請求することができます。
退院後に自宅で介護した場合でも同様で、医師から介護人の必要性が認められれば、職業介護人の雇用費用や、家族が介護にあたった際の介護費用を請求することができます。
しかし、保険会社の中には交通事故の被害者が保険に対して無知なことに付け込み、「家族が介護するのは普通ですから」と介護費用を支払わないという悪質なケースもあります。
脊髄損傷患者や患者家族の介護は、脊髄損傷患者が生存する限り継続して必要となるので、将来的な介護費用だけでも数千万円の試算となることもあります。
職業介護人を雇う場合は1日あたり2万円前後、家族が介護する場合でも4000円程度が認められることが多いです。
もし家族が介護したとしても、月額約12万円、年間で146万円が家族の介護費用として認められます。
また、家族がすべての介護をする必要はなく、「週3回は職業介護人に来てもらい、その他の日は家族が介護する」といった介護プランも判例で認められています。
さらに踏み込んで「介護している家族が65歳となった時点で脊髄損傷患者の介護をするのは困難であるため、それ以降は職業介護人がすべて介護する」といった予想に基づいての介護費用の算出も認める判例も出ています。
そのため、「家族なので無償で介護してください」といった保険会社の主張を鵜呑みにする必要はなく、弁護士に介護費用の算出をしてもらい抗議すると良いでしょう。
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医師が脊髄損傷患者の介護が必要と判断した場合、例え身内が介護をしたとしても、介護費用を請求できる。仮に職業介護人を雇った場合も、負担した費用の請求が認められる。
交通事故で脊髄損傷を負い、被害者が介護の必要な状態に陥った場合、将来的な介護費用を請求すれば認められる可能性がある。正当な理由を主張するためにも、弁護士に相談してみるとより安心できる。
脊髄損傷による介護費用の請求は、脊髄損傷の重篤度により認められるときもあれば、認められないケースもあるため、事前に弁護士に相談して確認をした方が良い。
脊髄損傷となって自宅介護する場合、職業介護人の費用を保険会社に請求することができるが、容体などによっては介護人の費用が認められないこともある。
脊髄損傷患者が受傷後に自宅マンションに住み続けるのが困難といった問題が起こった場合、改装や引っ越しを検討しなければいけない。その場合、弁護士に依頼をしてアドバイスを受ける方が良い。