交通事故の第三者行為による傷病届で同意書を拒否されたら?
【質問】
先日、歩道の幅が狭くなっていて歩きにくいため車道を歩いていたところ、後ろから原付に衝突される交通事故に遭ってしまいました。
スピードはそれほどでもなかったものの、歩行者と原付なので私の方の衝撃が大きく、打ち身などの怪我をしました。
警察を呼んで人身事故として処理され、相手は任意保険に加入していないということで自賠責保険を使うと言われました。
数日後、交通事故相手の人から電話があり、「自賠責の手続きをしている時間がないから、自分で直接請求してもらえないか。自分はこれ以上協力できない」と言われてしまいました。
確かに車道を歩いていた自分にも過失はあると思いますが、これまで一度も謝罪の言葉がなく、誠意がない方のように思われます。
自賠責の被害者請求のことを調べてみて、自分で手続きしてみようと考えています。
まずは健康保険で治療したいので「第三者行為による傷病届」を提出しようと思って同意書に捺印してほしいと相手に郵送したら、「自賠責の限度を超えて請求しないという念書を書いてもらわないとサインできない」と言ってきました。
今の治療で限度額は超えないと思うのですが、念書を書いてもいいものでしょうか?
また、同意がないままで傷病届を出すことは可能ですか?
【回答】
そのような念書を送る必要はなく、また送るべきではないと考えます。
交通事故被害者が、加害者に対しそこまで譲歩する必要は全くありません。
相手の同意書なしでも傷病届の提出・受理は可能で、健康保険を使うことができます。
同意書は、加害者側の健康保険組合への求償を円滑にするための補完的な書類であって、被害者側の過失が大きい場合などに必要とされます。
よって今回のように被害者の過失がさほど大きいわけではないケースでは、傷病届を提出するのに同意書が必須とは言えません。
相手が同意書へのサインを拒否したこと、自分にも過失があることを書面にして、傷病届と一緒に提出してください。
傷病届の運用方針は市町村や健康保険協会によるものの、ほとんどの場合この方法で受理され、健康保険を使って治療ができます。
心配であれば提出先の方に直接事情を説明してみてください。
加害者は誠意のない方のようですし、今後の手続きでも何かトラブルの発生する可能性がありそうです。
損害賠償額が僅少だからと我慢することなく、おかしいと感じたら無料で相談できる窓口を探してみてください。
日弁連の交通事故相談センターや法テラス、地域の交通安全協会など、いくつかの窓口があります。
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交通事故の被害に遭った時、被害者は一貫した主張をするべきであるのと共に、正直に正確な症状を伝える事が求められる。嘘をついて不法の利益を得た場合、詐欺罪に抵触する恐れがあり、注意が必要である。
交通事故の被害者が治療を続けていると、一定の時期を迎えた時、加害者側の保険会社から治療終了の打診がある。まだ治療を続けたい意思があるのなら、主治医に相談するべきである。
交通事故における示談交渉は、当事者同士でやりとりする分には問題無い。しかし、交通事故そのものには警察への通報義務が定められているため、必ず連絡する事が求められる。
交通事故の治療費は、過失割合によってはいったん自己負担した後、示談時に清算されることがある。その場合負担が大きいため、健康保険や高額医療費制度を活用すると良い。
交通事故の治療で通う整骨院を転院しても大丈夫だが、担当医や加害者側の保険会社へあらかじめ報告しておかなくてはならない。転院を繰り返すと、治療の一貫性が認められなくなるので注意する必要がある。