整骨院で交通事故の治療をした場合、治療費は支払われるの?
【質問】
70歳の母が運転中に、交差点で自動車同士の交通事故に巻き込まれました。
母の信号は青だったので、相手の方の信号無視が原因です。
母は交通事故後から首と背中の痛みがあり、整形外科に行ったところむち打ち症と診断されています。
整形外科でもらった薬を飲んでいますがなかなか痛みが引かず、先日、何度か行ったことがある近所の整骨院で見てもらったら、やはりいつもの先生が話しやすいようで、病院ではなく整骨院で治療したいと言っています。
整形外科のある病院は自宅から少し遠いので通うのが億劫なのと、大きい病院は待ち時間が長いわりに治療は短いのが不満なのだと思います。
整骨院に行った日は痛みが和らぐような気がするとも言っています。
しかし友人にこの話をしたところ「整骨院だと交通事故の治療費を払ってもらえないから止めた方がいい」と言われました。
母は「治療費のことは別にいい」と言ってますが、私はそういうことはきちんとしておいた方がいいと思うし、面倒な手続きなどは手伝うつもりです。
その整骨院は、看板で「交通事故治療」と掲げていますが、やはり治療費を肩代わりしてもらえなくなるのでしょうか?
【回答】
交通事故の怪我で整骨院に通うことは可能ですが、何の注意もなく治療先を変えてしまうとトラブルになることが多いです。
いくつかのポイントをクリアしておくことをおすすめします。
まずは整形外科で十分な検査を受けておいてください。
後になって手足の麻痺などが残るとき、後遺障害等級認定を受けることがありますが、このとき交通事故と後遺障害との因果関係を立証するために交通事故後の治療経過などを記した「診断書」を医師に作成してもらう必要があります。
整骨院で治療を行うのは医師ではないため、この診断書を作成することができません。
念のため客観的証拠をそろえることは大事です。
レントゲンやCTによる画像診断や、症状によってMRI、神経学的検査を受けておきます。
整骨院での治療に移りたい場合、整形外科の医師と交通事故の相手方の保険会社にその旨を伝え、了承を得ておいてください。
病院では医師なりの治療方針があり、整骨院で治療を受けることを快く思わない医師もいます。
また保険会社は治療費の支払いを長引かせたくなくて、整骨院への通院を嫌がる傾向があります。
医師とは積極的にコミュニケーションをとっておき、自分の意志を伝えるとともに定期的に整形外科でも診察を受けるようにすること、保険会社には整骨院での治療の有効性を伝え、治療費の打ち切りを避けることが大事です。
話がこじれるときには、交通事故処理に詳しい弁護士に相談してみましょう。
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交通事故の治療で通う整骨院を転院しても大丈夫だが、担当医や加害者側の保険会社へあらかじめ報告しておかなくてはならない。転院を繰り返すと、治療の一貫性が認められなくなるので注意する必要がある。
交通事故の患者を敬遠する医師は多いと言われ、むち打ちなどで「気のせいでは」と冷たくされる場合もある。納得いくまで治療を受けることは大事だが、後でトラブルにならないようポイントを押さえると良い。
交通事故の怪我は、場合によって医師に信用してもらえない場合がある。むち打ちがその例で、信用してもらえないと通院慰謝料をもらえない。状況に応じて、弁護士に相談すると良い。
交通事故の治療費は、過失割合によってはいったん自己負担した後、示談時に清算されることがある。その場合負担が大きいため、健康保険や高額医療費制度を活用すると良い。
交通事故で治療をしていて、医師から症状固定をされてしまうと、それ以降の治療費の支払いが保険会社からされなくなる。