交通事故で保険会社から症状固定するように言われたら?
【質問】
車の運転中に交差点で停止していたら、後続車に追突されてしまいました。
相手の車はけっこうスピードが出ていたようで、交通事故後、首や腰の痛みが強かったためすぐに整形外科に行き、むち打ちでしょうということで湿布薬と痛み止めをもらっています。
まだ小さい子供がいて外出が大変なのと、上の子もちょうど夏休みで家にいたこともあり、なかなか通院できないままいつの間にか2ヶ月経ってしまいました。
そのあいだはもらった薬や市販薬も使ってみましたが、なかなか痛みが引かず、先日久しぶりに病院に行って電気治療を受け、きちんと通院するように言われたところです。
その翌日、交通事故相手の保険会社から電話があり、「そろそろ症状固定の時期なので、治療費は打ち切りになります」と言われました。
夏休みが終わり、下の子も治療中大人しくできているので、このあとはもう少ししっかり通院しようと思っていた矢先のことでした。
まだ痛みがありますし、もう少し治療を続けたいのですが、症状固定というのをしなければならないのでしょうか。
また、交通事故治療では健康保険が使えないと聞いた気がするのですが、自費で治療を続けるのは正直無理なので困っています。
【回答】
症状固定は「これ以上治療を続けても症状は改善しない」と医師が判断するものであって、保険会社が決めるものではありません。
通院が長引くほど加害者側の賠償金を支払う保険会社の負担は増え、損害賠償のなかの入通院慰謝料額も割高になります。
そして、交通事故後ある程度の期間が過ぎると、このように症状固定して示談に移るように提案してくるのです。
その期間はむち打ちの場合おおむね3ヶ月程度、自賠責保険のカバー額を超える頃とも言われます。
なかには治療の必要がないのに症状固定せずに通院をする人がいるため、そのけん制の意味もあります。
本当に痛みがあり、改善の可能性があるのに、症状固定を急ぐことはありません。
さらに注意が必要なのは、もしも後遺障害が残って後遺障害等級認定を受けようとなったとき、半年間の通院期間がないと認定が受けられなくなってしまうという点です。
通院継続の必要性を保険会社に話しても納得してもらえない場合、医師に相談して「〇ヶ月の治療を要する見込み」といった内容の診断書を作成してもらい、保険会社に提出する方法があります。
医師が対応してくれないときやあまりに保険会社の態度が強硬な場合には、損保協会の紛争解決機関である損保ADRに相談するという方法もあります。
万が一治療費が打ち切られてしまっても、健康保険を使って治療を受けることが可能です。
領収書をとっておき、損害賠償請求に含めるようにしてください。
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交通事故の怪我は、場合によって医師に信用してもらえない場合がある。むち打ちがその例で、信用してもらえないと通院慰謝料をもらえない。状況に応じて、弁護士に相談すると良い。
交通事故の被害者が治療を続けていると、一定の時期を迎えた時、加害者側の保険会社から治療終了の打診がある。まだ治療を続けたい意思があるのなら、主治医に相談するべきである。
交通事故の怪我の治療を、自己都合や自己判断で止めてしまうと、後の示談交渉が非常に不利となってしまうため、医師の指示通りに治療を続けた方が良い。
交通事故の患者を敬遠する医師は多いと言われ、むち打ちなどで「気のせいでは」と冷たくされる場合もある。納得いくまで治療を受けることは大事だが、後でトラブルにならないようポイントを押さえると良い。
交通事故で後遺障害を負った場合、担当医が交通事故に詳しくないと、後遺障害があるにも関わらず後遺障害等級を非該当とされて、賠償金の提示額が低くなってしまう可能性がある。