交通事故による治療をやめた後に、再開した場合の治療費は?
【質問】
2カ月ほど前に交通事故に遭い、打撲とむち打ちを負いました。
打撲は2週間程度で収まったのですが、むち打ちの症状がひどく、1カ月ほど通院をしました。
その間の治療費は、保険会社が病院に直接支払っていたため、私が病院に支払ったことはありません。
仕事が忙しく、通院の時間がなかなか取れなかったことと、むち打ちの方は気にならない程度の違和感しか感じなくなっていたため、3週間ほど通院をしていませんでした。
最近になって左手がしびれるようになったため、もう一度病院に行って詳しく検査したところ、首の骨が少しずれており、神経根を圧迫しているので左手のしびれが出ているようだと言われました。
首の骨がずれたのは交通事故しか思い当たる節がなく、今回の治療費も保険会社が支払うものだと思っていたのですが、病院の窓口で治療費の支払いの請求を受けました。
驚いて病院に聞いたのですが、先月で保険会社からの治療費の支払いが打ち切られており、今回からは自腹になると言われました。
一旦治療をやめた後で治療を再開した場合、治療費は支払ってもらえないのでしょうか?
【回答】
交通事故による通院での治療費において裁判でも焦点となるのが、通院の頻度と期間です。
交通事故による怪我の治療では、週1回以上の頻度が目安と言われています。
治療費は、交通事故で負った障害の完治か、症状固定まで支払うというのが基本となるため、通院の間隔があいてしまうと「通院しなくても日常生活が過ごせているのだから、交通事故による障害は完治している」とみなされてしまうからです。
判例でも特段の理由なく2週間以上通院の間隔があいた場合には、交通事故の怪我は治っているとみなしたものもあります。
質問者の場合も、一旦治療を中断してから3週間後に再開しているため、保険会社からすれば「首の骨がずれて神経根が圧迫されていると言っても交通事故が原因ではなく、治療を中断した後の寝違いなど他のことが原因である」などと言って認めることはありません。
治療継続中に悪化した場合には、交通事故による一連の症状だと認められますが、今回の場合は認められる可能性はかなり低いと言えます。
しかし、治療中断後、治療を再開した場合の治療費が絶対に認められないかと言うとそうではありません。
交通事故の怪我が寛解した状態であったが悪化するというのはあり得るため、医師の診断で交通事故と因果関係があると判断できれば、治療費を支払ってもらえます。
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交通事故の被害者が治療を続けていると、一定の時期を迎えた時、加害者側の保険会社から治療終了の打診がある。まだ治療を続けたい意思があるのなら、主治医に相談するべきである。
交通事故で治療をしていて、医師から症状固定をされてしまうと、それ以降の治療費の支払いが保険会社からされなくなる。
交通事故の怪我は、場合によって医師に信用してもらえない場合がある。むち打ちがその例で、信用してもらえないと通院慰謝料をもらえない。状況に応じて、弁護士に相談すると良い。
交通事故の治療で通う整骨院を転院しても大丈夫だが、担当医や加害者側の保険会社へあらかじめ報告しておかなくてはならない。転院を繰り返すと、治療の一貫性が認められなくなるので注意する必要がある。
交通事故の通院には通常、公共交通機関を使った費用が支払われるが、歩行が困難などの状態であれば、タクシーの利用が認められることがある。