交通事故が原因で解雇されたら休業補償の請求はできるの?
【質問】
パート先への出勤途中に、後続車に追突される交通事故に遭いました。
衝撃が強かったため、かなり体に痛みがあり、通院治療しながら2週間仕事を欠勤しました。
その後なんとか復職したものの、背中の痛みがひどく、再び仕事を休んでいる状態です。
不安から交通事故の夢を見るようになり、あまり眠れず日中ももうろうとしてしまうことがあります。
病院を受診するとPTSDという診断を受け、年内は仕事を休むよう言われました。
パート先にこのことを連絡すると、上司から「復職まで時間がかかるなら会社として解雇せざるを得ない」という話で、自分から退職届を書くよう促されました。
退職届を書き、事実上の解雇を受け入れるしかないのでしょうか?
加害者に、解雇後の休業補償を請求できますか?
【回答】
通勤・就労中の交通事故であれば労災扱いになり、労災のために療養中の社員を会社が解雇することはできません。
就労・通勤時間外のプライベートで交通事故に遭ってその療養で休業している場合でも、会社の就業規則で定められた休業期間中の解雇はできません。
期間が満了したときに療養前と同じ業務ができない状態であっても、可能な業務への配置転換などを検討する義務があります。
つまり会社として、交通事故での休業を理由にいきなり解雇することは法律に違反しているのです。
退職届を書かねばならないということはなく、もしも退職届を提出したら合意によって自主退職をしたことになってしまいます。
会社を辞めたくないのであれば遠慮せず、回復次第復帰したい旨を伝えてください。
もし解雇された場合に、交通事故の加害者に解雇後の休業補償を請求できるのかという点ですが、これはかなり難しいと考えられます。
休業補償を保険会社に認めてもらうためには、交通事故と負傷との因果関係を証明するための「交通事故による休業であることを証明する診断書」、そしてその負傷によって解雇されたことを証明するための「交通事故による負傷のために解雇する旨の通知」が必要になります。
難しいのは後者の解雇通知の準備です。
不当な解雇を証明するような通知が存在すれば、企業が糾弾されるリスクがあります。
希望しない部署に異動させられるなどして間接的に退職へと追い込まれたとしても、退職と交通事故との因果関係の証明は難しいでしょう。
休業補償の請求については、弁護士のサポートが望める問題です。
「会社に迷惑をかけているから」と、雇用者の権利を放棄する必要はありません。
解雇されそうな状況と合わせて弁護士に相談してみることで、最善の対処を検討してください。
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