交通事故で婚約破棄に。加害者に損害賠償請求できる?
【質問】
彼女との結婚が決まり、3カ月前に婚約者のお宅に結納に行ってきました。
休みの日には彼女と結婚式場めぐりをしたり、結婚指輪を選びに行ったりして幸せな生活を送っていました。
しかし、2カ月前に交通事故に遭い、下半身麻痺となる脊髄損傷を負いました。
医師からも、脊髄損傷なので一生車いすの生活になると言われています。
そのため、交通事故直後は心配して病院に来ていた婚約者も、脊髄損傷で一生車いすだとわかると、理由をつけて病院に来なくなり、先週には婚約者とその親が、私の親の家に行き一方的に婚約破棄を言ってきました。
私としては、悔しいやら憎いやら、でも冷静に考えれば下半身麻痺の男性との結婚はしたくないと思っても仕方ないかと、気持ちが整理できずにいます。
交通事故の状況は0:10で加害者に全面的な過失が有る状況です。
交通事故に遭わなければ脊髄損傷とならなかったし、ひいては婚約破棄にならなかったはずでしたので、加害者に慰謝料の請求をしたいと考えています。
また、婚約者に対しても一方的に婚約破棄をしたことで訴えたいのですが、可能でしょうか?
【回答】
交通事故の後遺症により、婚約者が一方的に婚約破棄をしたとのことですが、加害者に対しての慰謝料請求の対象となる可能性が高いです。
答えが前後しますが、婚約者が脊髄損傷による下半身麻痺を理由に婚約破棄してきたことに対する訴えは、敗訴する可能性が高いです。
夫婦であれば、夫婦の相互扶助の観点から離婚することは認められないのですが、婚約者の場合は結婚以前と言うこともあり、相手に重大な問題が生じたり発覚した場合には、一方から婚約破棄をすることができます。
今回は、脊髄損傷による下半身麻痺が重大な問題に当てはまるため、婚約者を糾弾することは難しいと言えます。
そのため、交通事故の後遺症を理由に婚約破棄をされた場合には、加害者に慰謝料の請求をすることができます。
もし、結婚式場や新婚旅行などの代金を支払い済でキャンセル料が発生するのならば、併せて請求できる可能性があります。
慰謝料金額自体は、婚約者との交際期間などを吟味して決められるため、一概には言えませんが、数十万円~数百万と言ったところになります。
ですが、必ず婚約破棄の慰謝料が認められるとは限らないため、事前に弁護士によく相談をした方が良いでしょう。
特に保険会社の場合は保険金や慰謝料の支払いには消極的なため、弁護士から請求してもらうのが効果的になります。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故が原因でPTSDを発症した場合、後遺障害として認定されることもあるが、近年は厳格化しているため、事前に交通事故に詳しい弁護士に相談した方が良い。
フリーターの方が交通事故に遭い、今後仕事する事が難しくなった場合の逸失利益は、これまでは働いていたか、現在は仕事をしていたかなど、様々な状況を考慮した上で判断される事がある。
交通事故の被害に遭った時、被害者は一貫した主張をするべきであるのと共に、正直に正確な症状を伝える事が求められる。嘘をついて不法の利益を得た場合、詐欺罪に抵触する恐れがあり、注意が必要である。
交通事故の示談後に後遺症が悪化しても基本的には補償してもらえないが、示談時には予想できなかったほどの著しい悪化の場合は、示談を無効とする判例もある。
交通事故の被害者が治療を続けていると、一定の時期を迎えた時、加害者側の保険会社から治療終了の打診がある。まだ治療を続けたい意思があるのなら、主治医に相談するべきである。