交通事故の加害者に直接連絡をとることは効果的なの?
【質問】
自動車で信号待ちの列に止まろうとしていたところ、後ろから来た車に追突され怪我を負いました。
交通事故の状況から見て、私と後続車の運転手である加害者との過失割合は0:100で私には全く過失はないと思いますが、加害者側の保険会社が「加害者は追突を避けることができなかった。被害者にも2割の過失がある」と言ってきます。
何度か連絡を取り、事故状況やこちらの考えを伝えていますが、担当者の回答はのらりくらりとしてらちが明きません。
担当者とこれ以上話したくないので、加害者本人に直接連絡して話し合いたいのですが問題はあるでしょうか。
【回答】
結論から言うと、交通事故の被害者が加害者に直接連絡をしても法的な問題はありませんが、示談交渉にとって有効な手段ではありません。
保険会社による示談交渉は、加害者が契約している保険サービスの一環であり、保険会社との交渉を被害者が強制される義務はありません。
そんな保険会社を無視して加害者と直接交渉したとしても、違法ではないのです。
想定として、直接交渉によって加害者が「自分が100%悪かった」と10割の過失割合を認めたとします。
しかしその事実と、保険会社の損害賠償金の支払いとはまた別の問題なのです。
加害者側が過失を認めても、保険会社が「事故状況からしてそれはない」と判断すれば、賠償金の支払いは拒否されます。
保険会社は慈善団体ではないので、正当な支払い義務にしか従うことはありません。
別の想定として、加害者が被害者との直接交渉を拒否したと考えてみます。
それにもかかわらず執拗に加害者に直接連絡を取ろうとすると、保険会社は契約者保護のために顧問弁護士を介入させ、被害者宛てに「交渉の窓口が弁護士となったため、加害者やその家族には連絡をしないように」という旨の書面を送ってきます。
これも無視して連絡を続ければ逆に損害賠償を請求されたり、最悪の場合、刑事告訴される可能性があります。
保険会社の示談内容に不服があるからといって、保険会社を飛び越して加害者側と直接連絡しようとしても、メリットはないのです。
保険会社は保険金の支払いを抑える目的で、「弁護士事案にしたと言って、心理的な揺さぶりをかける」「のらりくらりとかわして相手が折れるのを待つ」といった策をとっている可能性もあります。
だからといって泣き寝入りするしかないわけではなく、交通事故の専門家には法律の専門家で対応するのが正攻法です。
交通事故による賠償賠償を専門とする弁護士に相談したり、代理人となってもらうことで、交渉をより有利に進められる可能性があります。
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保険会社は約款に従って賠償金を支払うため、個人で裁判所基準の賠償金を要求しても応えてもらえない。交通事故の示談段階でも、裁判を起こすにしても、賠償金額を増やすには弁護士へ依頼すると良い。
交通事故の示談を加害者と直接した場合には、保険会社から保険金が支払われなくなるため、直接の示談はしない方がいい。
加害者が加入している保険の上限額が、交通事故による損害額を大幅に超える場合には、保険会社が示談から撤退する可能性がある。
交通事故という緊急事態では本来の性質が出やすく、不誠実な態度で謝罪のない加害者もいる。憤りを感じても冷静に対処し、十分な損害賠償を受けることに目的を絞ることが大切である。
保険会社と示談交渉で納得できる回答がもらえず裁判と言われた場合、弁護士を通じて交渉した方が有利に進められる。