交通事故で過失割合を自由に決めることはできますか?
【質問】
先日、自宅近くで自動車同士の衝突事故を起こしました。
お互い体の方は多少のむち打ちと打撲の軽傷で済んだのですが、乗っていた自動車の方はかなりの修理が必要となりそうです。
それよりも驚いたことに、交通事故を起こした相手が高校時代の友達で、不幸な偶然にお互いが唖然としてしまいました。
お互いに自動車保険に加入していたために、保険会社が話し合っているのですが、過失割合が2:8となっていました。
しかし、友人から連絡があり、過失割合を2.5:7.5でもいいので8割未満にしてもらえないかと言われました。
何でも友人は自動車保険料を節約していたらしく、自分の怪我に対する補償は自賠責保険分しかなく、過失割合が8割未満だと自賠責保険から全額出て、車両保険の免責額の分もクリアできるため、自腹を切らなくて済むそうです。
私の方は手厚い自動車保険に加入していたため、過失割合が大きくなっても自分の持ち出し分はなしで済む予定です。
来年の保険等級は事故を起こしたため上がりますが、過失割合が増えてもさらに等級が上がることもないので、保険料の問題もないです。
この場合、保険会社から言ってきている過失割合とは違う示談をすることは可能なのでしょうか?
【回答】
当事者同士で交通事故の示談の話し合いをする際には、過失割合は自由に決めることが出来ます。
極端な例で言えば、自動車の運転手が歩行者をはねて大けがを負わせた場合でも、被害者である歩行者が過失割合を0ではなく2や5、損害賠償を受け取らなくていいので10でいいという事も可能です。
しかし、交通事故の場合、今までの交通事故の事例から過失割合の基準となるものが確立されており、保険会社もその基準に沿って過失割合を決めます。
保険会社もお互いに過失のあるケースでは、1割程度ならば加減の調整があることは承知しているため、質問者の場合では0.5割程度なので交渉の余地があると言えます。
ですが、過失割合の有利な方が過失割合を増やすと申し出るのはかなり不自然であるため、友人が保険会社を通じて質問者と交渉するという形をとることになると思います。
ただし、友人側の申し出る過失割合があまりにも不自然な場合には、保険会社の方で断る可能性もあります。
とはいえ、標準的な過失割合から大きく外れた示談をすることは思わぬトラブルを招くこともありますので、保険会社や弁護士などと相談をしながら示談交渉を進めた方が良いでしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
個人で保険会社と交通事故の示談交渉をするのには限界があるため、示談交渉がうまくいかない場合には弁護士に任せた方がうまくいく。
自分にも過失がある交通事故の場合、保険会社は自身が示談交渉権があることを盾に、弁護士費用特約の利用を許可しないことが多い。
交通事故における過失割合で加害者と揉めた場合、加害者の主張が不当であるケースでは、弁護士を介入させ、対処する方法がある。過失割合における口論を個人でまるく収めるのは、容易ではない。
交通事故の示談を任せる弁護士選びのポイントは、交通事故に精通していて、フットワークがきく近隣に弁護士事務所がある弁護士で、相性が合うと思った場合に依頼をした方が良い。
弁護士に交通事故の示談交渉を任せても、示談交渉の場に依頼主が同席することは可能であるが、事前の打ち合わせが重要となってくる。