確定申告していない事業者に対する休業補償の計算方法は?
【質問】
会社を退職して、半年前に個人事業者として商売を始めました。
しかし、2カ月前に商品を配達中に交通事故に遭い、1カ月の入院を余儀なくされました。
退院後は週2回病院に通院をしていたのですが、相手方の保険会社と休業補償のことでもめています。
個人事業者として仕事をし始めてまだ4カ月目で、確定申告の時期になったことがなかったため、1度も確定申告をしたことがありません。
そのため、保険会社から「個人事業者としての収入を証明するものがないため、休業補償が出せません」と言われてしまいました。
3カ月分の帳簿はあるのですが、商売を始めたばかりでさほど多い利益ではありませんでした。
ですが、毎月少しずつ増加していたため、交通事故に遭っていなかったらあと3カ月ほどで、会社員時代の給料と変わらないくらいになっていました。
個人事業者として開業届も出ていますし、帳簿も3カ月分はあるのに、保険会社に休業補償を認めさせることはできないのでしょうか?
もし、そのほかに書類や資料が必要であるのならば、どのようなものが必要になるのでしょうか?
【回答】
事業者が交通事故に遭った際の休業補償の計算方法は、一般的には前年度の確定申告所得額を365日で割ったものを1日分とします。
分かりやすく説明すると、去年度の確定申告所得額が730万円であったのならば、365日で割った2万円が休業補償の日額になるため、30日間入院していた場合には、2万円×30日=60万円が休業補償の金額になります。
しかし、質問者のように開業したてで確定申告をしていなかったり、収入がさほどないため確定申告をしていなかったような場合には、帳簿や納品書・請求書などにより収入の証明とすることがあります。
また、相当の収入があったと認められる場合には、賃金センサスによる平均年収(年齢・性別・学歴による区分がされた全労働人口計)を基準として、休業補償の計算がなされます。
質問者の場合は、帳簿による収入か賃金センサスによるものかは分かりませんが、どちらかにより休業補償を計算するのが相当だと思われます。
もし、保険会社が強固に休業補償を認めない場合には、弁護士に相談をした方が良いでしょう。
また、個人事業者という事で、交通事故により仕事がキャンセルになって出た損害なども、消極的損害として損害賠償請求ができる場合もありますので、併せて弁護士に相談をした方が良いでしょう。
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損害賠償金に関してはもともと非課税との考え方であるため、交通事故の逸失利益の計算には、 税金が引かれる前の額面の収入が用いられる。
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交通事故における過失割合で加害者と揉めた場合、加害者の主張が不当であるケースでは、弁護士を介入させ、対処する方法がある。過失割合における口論を個人でまるく収めるのは、容易ではない。
軽傷であった交通事故の示談では、弁護士に依頼することで入通院慰謝料を弁護士基準まで引き上げて増額できる可能性がある。費用の詳細はケースバイケースで弁護料は弁護士によるので比較検討が必要となる。
交通事故の保険金支払いの基準は、低い順から「自賠責保険基準」「保険会社基準」「裁判所基準」があり、金額の差が数倍となる。