交通事故で入院しボーナスカットに。減った分は請求できる?
【質問】
交通事故で3カ月の入院を余儀なくされ、退院後すぐに会社に復帰して仕事をしながら、通院も続けています。
私の会社は夏と冬にそれぞれボーナスがあり、ここ5年ほどは1回のボーナスで2ヶ月分の金額が支払われていました。
ですが交通事故のため、ボーナスの査定期間の半分は入院をしていて、復帰してからも通院のために休んだりしたことがあったため、上司からも「今回はボーナス査定が出来ない」と言われ、寸志程度のボーナスしかもらえませんでした。
通常もらえていたはずのボーナスと比べると50万円以上の違いがあり、住宅ローンのボーナス払いを考えると、非常に困っています。
加害者側の保険会社からは、会社を休んだ分の休業補償を支払うとは言われていますが、減ってしまったボーナスに関しても保険会社に請求できるのでしょうか?
【回答】
交通事故の休業補償を算出する場合には、交通事故直前の給料3カ月分か、前年度の源泉徴収による収入を基本として計算されます。
仮に月収30万円で、年100万円のボーナスがあり、年収的には460万円であった場合、
月収ベースで計算すると、
30万円×3カ月÷90日=1万円となり、休業補償は1日あたり1万円となります。
年収ベースで計算すると、
460万円÷365日=1万2602円が、1日の休業補償として請求ができます。
「これならば、年収ベースで計算してもらった方がいいのでは?」と思うかもしれませんが、サラリーマンでは月収ベースの計算になります。
年収ベースで計算されるのは、「自営業で毎月の収入の差が大きい」「サラリーマンでも時期によって繁閑の差が激しく、月収が大きく変わる」といった方のみになります。
月収ベースの計算では、ボーナスは考慮されていないため、場合によっては何十万円ものボーナスが受け取れないにもかかわらず、保険会社からは何の保障も受け取れないといったことが起こります。
そのため、減額したボーナス分を請求する際には、「交通事故によって、○日間の休職があったため、通常の賞与よりも××万円減額した」という証明書を会社に書いてもらい、保険会社に提出して請求する必要があります。
しかしながら、自分からボーナスに関する休業補償について言い出す保険会社は皆無で、被害者がボーナス分の休業補償を請求しても、いろいろと理由をつけて払いたがりません。
また、「ボーナス分の休業補償を支払います」と言っておいて、慰謝料などの他の保険金を減額して帳尻を合わせるような保険会社もありますので、示談金の計算書の内容の確認はしっかりしておく方が良いでしょう。
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交通事故に遭い、仕事を休むことになり収入的に厳しい場合、仮払金を請求すれば先払いしてもらえる可能性がある。交通事故が原因で生活が苦しい場合には一度、希望を伝えてみるのが良い。
個人事業者などで確定申告をしていない場合でも、帳簿による収入か賃金センサスで休業補償を計算することが多い。
交通事故における過失割合は、被害者が請求する賠償金に大きく影響する。相手の保険会社が決定した過失割合に納得いかない場合、根拠のある反論が求められる。
交通事故で入院している期間の休業補償は、会社の休日(土曜や日曜など)は除外されて計算される。しかし、有給を使って休んだ分に関しては休業補償の対象となる。
交通事故で加害者から見舞金を受け取る場合には、メリット、デメリットを考慮し、損害賠償金に含めるかどうかをハッキリさせたうえで受け取るようにすべきである。