子どもが飛び出してきた交通事故の過失割合はどうなるの?
【質問】
8歳の子どもと近くのショッピングモールに買い物に行った帰りに信号待ちをしていたところ、子どもが急に道路に飛び出して、走ってきた自動車にひかれました。
子どもが手に持っていたおもちゃを道路に落としてしまい、それを拾おうとして車道に飛び出したことが原因です。
親として子どもの管理がキチンと出来ていなかったことに対しては猛省しておりますが、自動車の運転手の方から、「ちゃんと横断歩道があって、そっちは赤信号にもかかわらず、急に車道に飛び出してきて、子どもの方が悪い」と言われ、治療費の支払いの話すらできない状態です。
運転手の言うことも分かりますが、8歳の子どもにそこまでの分別がつくとも思えず、しかも今回はとっさにおもちゃを拾おうとしたことだったので、話すらしてもらえないのは困っています。
子どもの飛び出しによる交通事故の場合、子どもでも過失を問われるのでしょうか?
【回答】
日本の道路交通法では歩行者最優先とされており、通常の道路であっても歩行者の交通事故の過失は0~20%ほどとされています。
自動車側が青信号で直進して、歩行者が赤信号を無視して交差点内に飛び出した場合でも過失割合は70%と、自動車側の過失が0ということはほとんどありません。
しかし、道路交通法で保護されている歩行者と言えども、過失割合が加算されたり、逆に減算されることもあります。
加算の代表的なものは、「夜間」・「横断禁止場所での横断」・「幹線道路」・「酩酊などによるふらふら歩き」・「立ち止まり」・「自動車の警笛(バックブザー含む)があるにもかかわらず回避行動をしない」などです。
一方、減算での代表的な、「集団横断」「歩車道の区別がない道での事故」「自動車側の重大な過失」のほかに、「幼児・児童・高齢者など道路交通法71条2号の該当者」があります。
今回の交通事故のケースでは、交通事故に遭ったのが8歳の子どもであるため、道路交通法71条2号の児童に該当すると思われますが、近年ではこの児童に対するラインが低下している傾向があります。
以前ならば、「小学生は児童」というような一括りの判決もありましたが、最近では「5・6歳であっても交通ルールを知り、自動車に対する危険性の認識がある」として、歩行者の減算がされなかった判例もあります。
今回のケースは赤信号であるのにもかかわらず、子どもが飛び出したということですので、「7:3」程度の過失割合になると思われます。
運転手側も30%の過失があるため、全く治療費を支払わないという主張は、裁判となっては通用しないので、加害者が任意の保険会社に加入しているのであれば保険会社と、自賠責保険だけならば、被害者請求という形で直接治療費を請求した方が良いでしょう。
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保険会社自身が交通事故の解決のために弁護士に依頼するのは、交通事故の調査のほかに、契約者もしくは相手側に問題があることがある。
交通事故で入院した場合、医師から治療の必要性により指示があるなどでないと、個室利用料を加害者に対して請求することはできない。
自動車と歩行者における交通事故の過失割合は、基本的に自動車が悪く、10:0となる。しかし、シチュエーションによっては歩行者にも過失割合が発生し、過失相殺される可能性はある。
金銭の授受がないからと交通事故の示談を放棄するよりも、金銭の授受は行わない旨の記載をした示談書を作成して示談をした方が、のちのち紛争が起きにくい。
交通事故で加害者が複数いる場合には、共同不法行為の考えから加害者の一人に対して全額の損害賠償請求をすることができる。