自動車同士の交通事故で壁を破壊。第三者に弁償するのは誰?
【質問】
交差点内で自動車同士の事故を起こしました。
交通事故の状況は、こちらは青信号で直進をしていたのに、相手側が信号を無視して交差点内に進入してきたものです。
過失割合は0:10なのですが、困ったことがあります。
交通事故の時に、相手の車が当たったショックで、私の車が左方向に行ってしまい、民家の壁に突っ込んで破壊してしまいました。
私が加入している保険会社には連絡済みで、相手側の運転手も交通事故現場で相手が加入している保険会社に連絡を入れているのは確認済みです。
この場合、第三者である民家の壁の修理費は誰が弁償するのでしょうか?
実際に壁にぶつかった私なのでしょうか?
それとも、そもそもの交通事故の原因となった相手方になるのでしょうか?
【回答】
交通事故が起こった場合、被害は交通事故を起こした当事者同士だけにとどまらず、交通事故に直接関係ない第三者にも被害をおよぼす事も少なくありません。
今回の場合も、自動車同士の事故にもかかわらず、第三者の所有物である民家の壁に被害を与えてしまった状態です。
質問者をA、相手側をB、民家の壁の所有者をCとします。
自動車同士の事故の過失割合は0:10なので、Aが被った損害はBが全額弁償しなければいけません。
そして、所有者Cが被った被害に関しても、Bが全額弁償をすることになります。
よく、高速道路などで停車中の自動車に突っ込む玉突き事故がありますが、複数の自動車に被害があった場合でも、玉突き事故の原因を作った自動車の過失が100%ならば、玉突き事故で被害があったすべての人に対して、その運転手が弁償しなければいけません。
では仮に、A:Bの過失割合が2:8の場合にはどうなるかというと、Cの損害に対してAは20%、Bは80%を支払わなければいけません。
このように、交通事故で第三者に損害を与えた場合には、過失割合に応じた負担をしなければいけないことになります。
「自動車同士の事故で、第三者を巻き込むような事故は少ないのでは?」と思われるかもしれませんが、第三者に対する被害は意外に多いです。
ガードレールや電信柱、信号機など、これらの物を破壊した場合にも、当然のごとく弁償をしなければいけません。
少し特殊な例では、電信柱に当たり破壊してしまったのですが、事故を起こした運転手は「電信柱くらいならば、保険で直せる」と軽く考えていました。
しかし、その電信柱は電話とインターネット回線の主要な電信柱であったため、事故のため交通事故現場一帯の電話とインターネットが不通になり、その損害賠償請求が2000万円と莫大な金額となり、保険金でまかなえなかったという話もありますので、第三者に対する補償にも気をつける必要があります。
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玉突き事故の場合、最後尾の車両の過失割合が100%となることが基本であるが、先頭車両の急ブレーキなどの過失がある場合には、過失割合が変わることがある。
保険会社自身が交通事故の解決のために弁護士に依頼するのは、交通事故の調査のほかに、契約者もしくは相手側に問題があることがある。
個人で保険会社と交通事故の示談交渉をするのには限界があるため、示談交渉がうまくいかない場合には弁護士に任せた方がうまくいく。
交通事故で加害者が複数いる場合には、共同不法行為の考えから加害者の一人に対して全額の損害賠償請求をすることができる。
高速道路の場合、一般道とは異なる過失割合となるため、追突事故でも追突された側の過失が0となるとは限らない。