玉突き事故は最後尾の車両が過失割合100%となる?
【質問】
県道を走行している時に、前を走行中の自動車が急ブレーキをかけたため、私もあわててブレーキをかけました。
私の自動車は衝突になるギリギリで停まることができたのですが、ホッとした瞬間に後続の自動車に衝突されました。
そのため、追突された衝撃で自動車が前に進み、前で停車中であった自動車にぶつかってしまいました。
典型的な玉突き事故だと思うのですが、一番後ろから追突してきた自動車の運転手が、「急ブレーキをかけたのが悪い」と、私や先頭の運転手に言ってきています。
逆に先頭の運転手は「追突事故の場合、追突してきた自動車の過失が100%なので、一番後ろの自動車が悪い」と言って譲りません。
私としては、追突してきた一番後ろの自動車が悪いと思う反面、突然急ブレーキをかけた先頭車両にも過失があるのかなと思い困っています。
3人とも自動車保険に加入しているため、保険会社の3社が話し合っていますが、過失割合について収拾がつかないようです。
このような玉突き事故の場合、過失割合はどうなるのでしょうか?
【回答】
典型的な事例に、停車中の自動車に衝突する玉突き事故があります。
Aの自動車が停車中のBの自動車に衝突し、Bの自動車がその衝撃で前に停車中のCの自動車に衝突したとします。
この場合、AとBが交通事故の直接的な当事者となり、Cが第三者の被害者となります。
BはAに損害賠償請求をすることができますが、Cも事故原因を作ったAに対して損害賠償請求をすることができます。
これは3台の玉突き事故でも、10台の玉突き事故でも基本的な考えは変わりなく、最後尾で追突した自動車の過失が100%ということになります。
このような過失割合になるのは、道交法上では走行中は、急ブレーキをかけても安全な車間距離をとることを義務付けられており、「追突事故は、車間距離保持をしていなかった後続車が悪い」というのが基本概念になるためです。
ただし、先頭車両が「歩行者が飛び出した」など正当な理由なしに急ブレーキをした場合には、先頭車両にも30%の過失割合を科されることがあります。
今回のケースでは、最後尾の運転手に100%の過失が科されることになりますが、先頭車両の運転手に過失がある場合には、先頭車両に30%・最後尾の車両に70%の過失があると認められます。
しかし、交通事故の状況によっては質問者にも過失割合が科される可能性があるため、詳しくは弁護士に相談した方がいいでしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
保険会社自身が交通事故の解決のために弁護士に依頼するのは、交通事故の調査のほかに、契約者もしくは相手側に問題があることがある。
交通事故により死亡した被害者が複数いて、その請求権が1人の遺族になる場合には、示談交渉がかなりの重責となることがあるため、弁護士に依頼をして保険会社と交渉してもらう方が良い。
交通事故で、民家の壁や信号など第三者の所有物を破壊してしまった場合には、修理代などの弁償は過失割合に応じて支払わなければいけない。
交通事故で当事者同士以外の第三者に損害を与えた場合には、過失割合に応じた補償をしなければいけない。
交通事故の被害者は、自賠責保険に直接請求することができる。このことを、自賠責保険の被害者請求と言う。