自営業を営んでいて交通事故により損害が…損害賠償請求は?
【質問】
私はブライダルフラワーや結婚式でのフラワーアレンジメントを主とした、個人経営の花屋を営んでいます。
先日横断歩道を横断中に信号無視をした自動車にはねられ、利き手と腕にひびが入る怪我を負いました。
救急車で運ばれた病院で治療を受けましたが、全治2カ月と言われており、花屋は休業を余儀なくされています。
私の仕事は結婚式がメインということもあり、半年以上前から注文を受けて、結婚式前日や当日に飾りつけをするため、交通事故で仕事ができなくなったのは致命的です。
実際、交通事故の翌々日に挙式をあげた顧客からは、私からの急なキャンセルにより、違約金の請求が来ています。
そのほかにも、交通事故翌日の仕事用の花も全部無駄になり、全治するまでの2カ月間に受け付けていた12件分の予約も、こちら側の都合でキャンセルせざるを得なくなり、金銭的な損害の他に、信用問題も発生しています。
交通事故により生じた商売の損害賠償を、加害者の保険会社に請求することはできるのでしょうか?
【回答】
交通事故の場合、身体の怪我や物品の破壊など、人的や物的の損害の他に、交通事故が起こったことによる損害も、加害者側に損害賠償する責任があります。
サラリーマンのような給与所得者である場合には、交通事故で会社を休んだことによる給料の減額などがこれに当たります。
自営業の場合、月によって収入が大きく変動することがあるため、前年度の収入を参考とすることが多いです。
質問者のように経営者や会社の重役などが交通事故の被害に遭い、商売や会社の経営上に損害を受けた場合には、加害者に請求することができます。
今回のケースでは、交通事故に遭ったことにより、以前から受注していた仕事を断らざるを得なくなっているため、その分の利益に関して損害賠償請求することができます。
あくまで利益であり、受注金額が40万円で利益が10万円であった場合には、10万円分の請求になります。
また、交通事故で仕事をキャンセルしたことによる違約金に関しては損害賠償請求できる可能性が高いですが、仕事のために用意をしていた花代に関しては、保険会社が認めるかは微妙と言えます。
花に関しては、「交通事故の当日ならば発注を止められたのではないか?」「他店に流用できたのではないか?」ということが焦点になります。
しかし、生花であるため日持ちしないことを鑑みると、商品に対する損害賠償請求できる余地はあると思えます。
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交通事故の場合、被害者が保険会社に対して、損害賠償金額の証明をしなければ、保険会社から損害賠償金が支払われない。
交通事故の示談前に加害者が失踪した場合には、損害賠償請求することは難しくなるが、加害者側に保険会社がついていれば、保険会社に引き続き請求できる。
交通事故の怪我が原因で入院した場合、被害者は個室を希望される場合が多い。しかし過去の判例からすると、そのほとんどは個室料金の請求が認められていない。
仮に交通事故の示談交渉を弁護士に任せたとしても、保険会社と交渉する場に、被害者が同席する事は可能である。しかし、その場合にはスムーズに事を進めるために入念な打ち合わせが求められる。
交通事故の同乗者であっても、危険運転致死傷幇助罪に問われると、事故の責任を負わなければいけないため、相手側から損害賠償請求を受けることがある。