交通事故が原因で入院した場合、個室料金は認められる?
【質問】
最近、夫が仕事の帰宅中に交通事故に遭いました。
足を骨折すると共に、頭を強く打ってしまったため、交通事故の直後は意識を失うほどの大事故となりました。
すぐに入院する事になったのですが、夫はあまり他人が近くにいる空間が好きではないため、個室を希望し、移動しました。
また、夫の主張曰く、交通事故の被害者になったのだから、たとえ個室を利用したとしても問題ないだろうという事です。
私は相手の保険会社に悪く思われないためにも、あまり強気にならない方が良いと言ったのですが、全く話を聞いてくれませんでした。
個室にしますと短期間でも10万円や20万円近くの料金となってしまいますので、これで個室料が保証されないとなると、大変な出費になります。
夫のいないところで病院に相談したところ、途中から相部屋に戻してもらう事も可能であるとの事でしたが、夫は頑なに個室にすると言っています。
実際のところ、交通事故の被害者は正当な理由なしに個室を利用した場合、その料金は請求する事ができるのでしょうか?
【回答】
交通事故に限らず、病院で入院される方には、個室を希望される方が多いです。
また、ご主人のように、交通事故の被害者であるという立場から、特別な理由なしに個室を選ぶ人も少なからずいらっしゃいます。
このような交通事故の被害者による、個室の利用に関する問題は決して珍しい話ではなく、多くの判例があるものの、基本的には個室の利用料は認められていません。
もちろん、重体であって個室での看護が必要であったり、免疫的な理由から他の患者と同じ空間にいられなかったりするなど、正当な理由がある場合には保証される可能性が高いです。
病院の入院施設は、個室でなくとも十分に治療できる環境が整っているため、しっかりとした理由がなければ個室を利用する費用の請求は難しくなります。
ご主人の場合、意識が戻り、骨折を原因に入院しているという事、そして個室を希望する理由に正当性が見当たりませんので、認められない可能性が高いです。
弁護士に相談し、被害者の理由をしっかりまとめてもらい、保険会社と交渉してもらう事も可能ですが、必ず請求できる保証はありません。
少しでも請求できるために弁護士に依頼するか、あるいは理由なく個室料金を請求できない可能性を考え、大部屋に再度移動してもらうのが良いでしょう。
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交通事故の後に被害者の過失により怪我が悪化した場合、交通事故の時点での損害以外は加害者と言えども補償する必要はない。
交通事故が原因で勉学に遅れが生じた場合、過去の判例では塾や家庭教師の実費を請求できる可能性がある。交通事故によって発生した損害は、細かく確認し、要求してみるべきである。
交通事故の場合、被害者が保険会社に対して、損害賠償金額の証明をしなければ、保険会社から損害賠償金が支払われない。
交通事故により商売上で発生した損害は、損害賠償請求することができるが、認められる範囲がある程度決まっているため、全額請求できない場合もある。
交通事故で入院した場合、医師から治療の必要性により指示があるなどでないと、個室利用料を加害者に対して請求することはできない。