ひき逃げの加害者に保険金の増額を請求できますか?
【質問】
2カ月前に、横断歩道を自転車で横断中に左折してきた自動車にはねられました。
私をはねた自動車の加害者は、私を助けてくれることもなく、そのまま逃げてしまいました。
私は1カ月間の入院を余儀なくされたのですが、その間の治療費は自己負担で、会社も休んでいたため金銭的にかなりの負担を強いられました。
先日、ひき逃げの犯人は捕まったのですが、捕まるまでの間、ずっと金銭的な不安や後遺症の不安があり、退院後も通院している病院から、抗うつ剤の投薬もしてもらっています。
今更ながら、加害者側の保険会社から治療費の支払いなどの保険金の話が来ていますが、ひき逃げの不安でうつ状態になったこともあり、保険会社に保険金の増額を要求しようかと思っています。
ひき逃げを理由とした保険金の増額の要求は、保険会社に主張できるのでしょうか?
もし認めてもらえない場合には、弁護士から抗議してもらうことはできるのでしょうか?
【回答】
交通事故の加害者が、被害者を救護せずに逃げてしまうことがあります。
加害者がひき逃げをしてしまう理由には、「飲酒運転で捕まるのが怖かった」「事故を起こしたら会社をクビになってしまう」「気が動転していた」と、被害者からすれば加害者の身勝手でしかないと言えます。
そのため、ひき逃げの示談交渉の時には、加害者と被害者が大いにもめて、弁護士が介入してもおさまらずに、法廷闘争となることもあります。
感情的なこじれというのは、金銭的なこじれよりも解決が難しく、世間的には十分な保険金を受け取っていても、被害者の感情からすると収まりがつかないといったことも多々あります。
ひき逃げの場合、道交法上では飲酒運転同等の違反点数が課され、さらに被害者が怪我をしたり死亡したりした場合には追加加点されます。
つまり、ひき逃げを行った時点で、加害者は悪意があると警察も判断をしていて、罰則も単なる飲酒運転よりも重くなります。
そのため、保険会社に対しては、加害者の違法性に対する保険金の増額を訴えることができます。
さらに、精神的な慰謝料に対しても請求することができますが、うつ病に関しては長期間の治療歴や因果関係の立証が必要となるため、質問者の場合は事故から2カ月であるため認められる可能性は低いと言えます。
どちらにしても、質問者個人で保険会社と交渉をしても、認められることが少ないか、増額されても微々たる金額であることが予想されますので、弁護士に依頼をして慰謝料などの増額のほかに、休業補償の増額なども併せて請求してもらう方が良いと思います。
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交通事故の示談を加害者と直接した場合には、保険会社から保険金が支払われなくなるため、直接の示談はしない方がいい。
交通事故で労災が使える場合には、自動車保険だけで補償してもらうよりも、労災と併せて補償してもらう方が、手厚く補償してもらえる。
交通事故の相手が飲酒運転であっても、被害者に対しては通常の交通事故と同じく保険金が支払われる。
1回目の交通事故の示談前に、2回目の交通事故で死亡してしまうと、請求できる保険金額が変わってくるため、弁護士に依頼して交渉をしてもらう方が良い。
ひき逃げの場合、 国の「政府保障事業によるてん補金制度」により治療費などが支払われるが、自分が加入している自動車保険の特約の利用ができることもある。